路地裏にほのかな明かり冬の月 広


軒の接する路地裏にも月明りは届く。

子供の頃、その路地裏に住んでいた。当時の家は、江戸時代の長屋のように共同水道、共同便所であった。

今の水洗便所と違い、汲み取りのポットン便所であり、夜はその便所で排便するのが怖く、祖母を起こして付いて行ってもらった。


便壺には便がお尻の近くまで溜まっていることがあって薄気味悪く、便所の戸の前にいる祖母にお婆ちゃんと声をかけ、祖母の返事に安心したものであった。


冬の月にその事を思い出した。