近道の落葉降り積む渓の道 広

 

近道をしようと渓の道を歩くと、落葉が降り積み、カサカサと乾いた音は小気味よかったものの、まわりに誰一人としておらず、し~んしていた。歩くほどになにかしら心地が悪くなり、足を速めて人通りのある遊歩道に出た。

 

人一人が通るのがやっとの渓の道で、人と出会えばむしろ戸惑うかもしれないけれど、それでもまったく人気のない渓はうす気味わるいものがあった。

静かさを求めて渓歩きしているならいいが、近道をしようと迷いこんだような形になったものだから、そんな思いがしたのだろう。