暑き日に駅のチヤイムのひびきけり


駅のホームは風通しがよく、ホッとするものの、それでもじっとりと汗が滲み出す。


梅雨どきから夏の終わりまで、ヒグラシの鳴き出す頃まで、食欲が落ち、体が弱る。


若い頃は体力の低下はそう気にならなかったが、70を過ぎると、器官や臓器の低下がひたひたと迫り、花鳥風月を友として生きた芭蕉の心境が分かるようになった。


枯淡の境地と言えば聞こえはいいが、老残であり、その我が身の老残と向き合うのも悪くはない。

何事も流れる水の如く、時間をたゆたっているようなものだが、老境とはそういうものなのだろう。