揺るゝまま車床を這ふや冬日差 広

 

電車が郊外の田園地帯に差し掛かると、車窓からの冬日差が揺れにまかせて床を這う。

冬日差は一定の角度から差し込んでいるのだが、電車がそれと戯れるように揺れ、足許に日差しが左右にひろがり、伸びたり縮んだり。

 

外は寒中の冷え込みであっても、電車の揺れにまかせて座っていると、日差しの温かさで春隣といった思いに誘われる。