冬田より雀飛び立つ十四五羽 広
ひつじ穂が枯れ春耕を待つ冬田に、自転車でさしかかると雀が十四五羽、一斉に飛び立った。
雀が羽を休めていたのか、エサをついばんでいたのか。そのひとときを、自転車で邪魔したようだ。
気の利かない、無粋なヤツと思われたことであろう。
雀は、物心つく頃から身近な存在であり、初めて知った鳥はやはり雀であった。
ちょこまかとした雀の動きは、なんとなく愛嬌があって、雀がしめ飾りの稲穂をつつくのはいいが、他の鳥につつかれると不愉快になる。
雀には、幼友達のような気分がなにかしらあって、冬田から民家の屋根や電線に移った雀に「またネ」と声をかけたくなった。