靄かかる二日の街に物の音 広

 

二日の朝、ガラス越しの空はどんよりと曇っていた。ガラス戸に近づいて見ると、靄がかかり、100m先の景色が冬靄に隠れていた。

コロナの感染者が再び増えだした日本の先行きを暗示しているようにも思えたが、周りの景色に気を取られることなく物事に集中せよということなのかと、まァ、自分に都合のいいように解釈し、妻と近所を散歩し、2日から開けているスーパーに立ち寄って帰った。

 

通販で買った中山式の腰椎コルセットが妻に合ったらしく、「楽になった」と言うが、まだ六分ぐらいの回復のようだ。腰は痛めると治るまで時間がかかるし、いつぶり返すか分からず、治ってもしばらくはコルセットをするように言っているのだが、「はいはい」と、あしらうように返事する。

 

息子の言うことならちゃんと聞くくせに、夫となるとこうも返事が軽くなるのかと思ったが、定年後の夫は靄がかかったように存在が薄くなっているのだろうと、さして腹も立たなかった。