私は京都にいくとだいたい南禅寺に寄り、

庭でぼーっとし、お土産に絵はがき集を買います。


この絵はがき集がすごいんです。


いったいこの人は1年のうち何日シャッターチャンスを狙って

南禅寺で過ごしたんだろうと思うような

四季折々の素晴らしい写真にあふれていて、

南禅寺に惚れ込んだのは絵はがきのおかげといっても過言でないくらいです。


それを撮っているのが写真家・水野克比古さんであることを知り、

しかもその時にいいなと思って部屋に飾っていた写真が

たまたま水野さんの作品で運命を感じてしまい、

以来、水野さんの写真集をこつこつ集めています。


なかでも「京都名庭園」は英語の解説もついているので

渡米前に大量購入し、こちらで日本文化を愛するかたに差し上げています。


今年もまたいくつか新しい写真集が出版されているようです。

それを手に入れるのと、水野さんのギャラリー町家写真館を訪ねるのを

帰国したときの楽しみにしています。



と、南禅寺を急になつかしく思い出したのは

大学生のころ一緒に南禅寺を訪ねた古い友人が

婿入りを決めたといきなり連絡してきたからです。


連絡してきたというより、ふつうにメールをやりとりしていたら、


>僕は最近はもっぱら、結婚式に向けて、聖書を読んでます。
 式を挙げてもらう神父さんに「聖書で好きな言葉はありますか?」と
 聞かれて、聖書なんて読んだことないから、慌てて読んでるのだけど。
 聖書によると、「金持ちが天国にいくよりかは、らくだが針の穴を
 通るほうがやさしい」んだってさ。こりゃ金持ちも大変だね。


・・・もうちょっとまともな報告のしかたがあると思うけど。
そして、婿入りの話になったら、


>サザエさんの旦那のマスオさんは波平たちと同居しているけどさ、
 いつも温厚だし、すごい人格者だなって最近思います。
 本当はいろいろと気を使ってるはずなんだよな。
 というわけで、最近は聖書とマスオに習う日々です。


さらにそこへもうひとりの古い友が、


>やべえ、出遅れた。
 でも金持ちは金にものを言わせて

 らくだが通れる大きな針を作れば良いと思う。


こういうくだらないことを言い合う仲間がひとりひとりオトナになっていって、
そろそろ自分の番がこないかなぁと思い始めた今日この頃です。


来年1月からBarack Obama氏が米政権につくことが決まり、

街はフィリーズがまた優勝でもしたのかというような騒ぎです。


頑張れば、実力さえつければ、肌の色に関係なく国の頂点に立てる。 


昨晩は中東・南米出身の友人たちとワインを飲みながら、

アメリカは本当に夢をみさせてくれる国だねぇ、としみじみ。


オバマ氏の選挙戦は、未来的でした。


国庫から選挙資金をもらうかわりに

支持者に「コインでいいから」と寄付を頼んで巨額の資金を集め、

それを縦横無尽に惜しげなく使うやり方。


お金で人を集めるのではなく、お金は人についてくるんですよね。



それから、分別をもって国民を説得するやり方。


例えば、対立陣営であるペイリン副大統領候補の

10代の娘の妊娠がマスコミで騒がれたとき、一緒に批判するのではなく、

家族はオフリミット(聖域)だから

これ以上騒がないでほしいと火消しにあたりました。


マケイン候補とのディベートでも

相手がまっとうなことを言っているときは恐れず同調し、

何度も「その点についてはマケイン議員は正しいと思う。」と言い続けました。


相手が失敗したら見境なくつけこんで批判するとか、

相手が痛みのともなう提案をしたら反対世論をあおって

ポイントを稼ぐというスタイルではありません。


むしろ、理解されにくいけれど大切なはなしを

自分の口から説明して支持者に納得してもらうことこそ

リーダーたる政治家の役目である、

そういう強い決意を感じるスタイルでした。


大統領選で当確が出た直後のスピーチでも、

「この先の道は険しい。心して支えてほしい。必ず頂上まで連れて行くから。」と

涙を浮かべた支持者たちを前に兜の緒を締めていました。



社長は苦渋の決断をするときこそ

必ず自分の言葉で従業員にメッセージを送り

マスコミを通じて社会にも説明すべきだと教わります。


逆に、業績がいいので福利厚生を充実させますとか、

そういう皆がハッピーなニュースは誰が発表してもいいのです。



国も同じではないでしょうか。


減税や公共事業(pork)をぶら下げて選挙区に帰るのはラクで、

増税せざるをえないと切り出すときは胃がキリキリ痛むでしょう。


新しい時代の政治家は

難しい局面でどれだけの人を信念をもって説得できるか、

そういう資質こそ問われるべきであるというのを

オバマ氏の勝利に見たような気がします。


palin

うちのマンションの向かいにあるパブに共和党のペイリン副大統領候補が来たときの人だかり。「ペイリンより俺のほうが外交政策を分かってる」などというプラカードを持った学生も。

ペンシルバニア州は選挙結果を左右する大票田(スイング・ステート)のひとつなので、両陣営の選挙運動が活発で面白かったです。ヒラリー氏に負けたオバマ氏が、今回はマケイン氏を破りました。


MWH

ボストンから北へ2時間半ほどドライブした

ブレトン・ウッズ(Bretton Woods)の森の中に

Mount Washington Hotel という由緒正しいホテルがあります。


1944年に第二次大戦後の世界経済を立て直すため

44カ国が集ってIMF・世銀の設立を決め、

後にブレトンウッズ体制と呼ばれる国際秩序を形成した

連合国国際通貨金融会議の会場です。


それから半世紀ほどの時が流れ、

第二ブレトンウッズ会議とも言われるG20緊急金融サミットが

今年11月15日にワシントンで開催されることになりました。


世界の今後しばらくを決めるかもしれない会議。


どういう合意が望ましいんだろうなどと

ひとりで考えていても煮詰まってくるので、

東海岸にいる日本人留学生たちを誘って

ブレトンウッズで「ワインを片手に金融を語る夜」を開催しました。


entrance

金曜の昼にボストン市内で集合し、マウント・ワシントン・ホテルに1泊して

ちょうど24時間後にボストンに戻る小旅行です。


メインダイニングで素晴らしいコース・ディナーを味わったあと、

広く落ち着いたロビーの暖炉を囲んで

「自己紹介」というお題でそれぞれが持ち寄ったワインを味わいながら

金融危機のこと、今後の世界のことなどを語りました。


途中からテーマが「人生について」にすり替わりましたが、

素晴らしいメンバーで、忘れがたい夜になりました。



IMF
<IMF協定などに調印したGold Room>



newspaper
<会議を報じた当時の新聞記事から>交通の便がよくない土地ですが、差別の歴史がない(どんな客人ももてなす)当時数少ないホテルとして、44カ国が集まる歴史的な大会議の会場に選ばれたのだそうです。



今回の金融危機に際して、フランスのサルコジ大統領が

あれだけ世界中を飛び回って各国の協力をとりつけているのは

EU議長国の権限をもってのことです。


今ちょうどG8議長国で、アジアの大国で

しかも危機対応だけで精一杯にならずにすむ日本には、

本当はそれ以上のことができるはずです。


G8のなかで赤子だった日本も

G20の枠組みでは、正真正銘の先進国です。


会場は成田でも森の中でもいいから

G20の合意形成を知恵でリードしてほしいと願っています。

breakfast


broad st

Philadelphia Phillies続報です。


なんと4-1でレイズを破り、ワールドシリーズを制覇してしまいました。


月曜に豪雨で試合が中断され、

火曜はひょうが降るかと思うような悪天候で順延、

水曜にやっと試合再開し、1時間ほどであっという間に決着がつきました。


125年の歴史のなかで、1980年以来2度目のタイトル。

そんな貴重な瞬間を、28年間待ち続けたファンと一緒に祝わせてもらえました。


地区優勝したときは騒ぎに乗り遅れて悲しくブログ を書いていましたが、

今回はちゃんと街に走りでて、ひゅーひゅー言ってきました。

声がかれました。


昨晩、おそらく全米で最もGross Regional Happiness (GRH?) の

高い地域にいられたことを、幸運に思います。


broad st2


NY bay


今週末はOffshore Sailing Schoolでセーリングを教えてもらいました。

http://www.offshore-sailing.com/  


Wharton Leadership Ventures(私が去年南極に行ったプログラム)

のひとつにカリブ海セーリング・ツアーがあって、

その予行練習に運よく混ぜてもらえたのです。


セーリングと言われて私はなぜかウィンド・サーフィンをイメージし

水着とタオルを持とうとしたのですが、

よく考えたら10月のニューヨーク港は

転覆して濡れるのは絶対に避けたい寒さでした。


ウールの靴下と帽子、ウォータープルーフのジャケットにパンツと、

ほぼスキーの格好なので、南極グッズが役に立ちます。

セーリング用に用意するのは滑らないゴム底の靴

(ボートを汚さないよう底が黒いものは不可)と手袋です。

その上で、日差しが強いのでサンバイザーや日焼け止めは必須です。


朝5時に目覚ましを3つかけて起きて、同級生の車で

ニュージャージーのLiberty Landing Marinaに向かい、

1907年に建造されたという大きな船の底にある教室で基礎を教わり、

3人ひと組でColgate 26というボートに乗り込んで、ハドソン川へ出ました。


自由の女神像があるリバティ島へのフェリーは

いつも長蛇の列で乗ったことがなく

マンハッタンの先端を水上から眺めるのは初めてだったので、

よくこんな小さな半島にこれだけのビル群を建てたなぁと

アメリカ資本主義のかたちを感慨深く眺めました。


午後は一帯に浮いたブイをなるべく多く見つけてぐるりと回って点数を稼ぎ

時間までに戻ってくるというレースを行いました。

ボートが縦になったり、波ではねてボートから放り出されそうになったりして、

3人できゃーきゃー言いながら熱中しました。


セーリングは、方向転換ひとつするにも

舵取りとふたつの帆の操作がかみ合わなければならず、

いつもお互いに声をかけあっている状態で、

確かにチームワークを育てるのにとても向いていそうなスポーツでした。


カリブ海での本番はさぞ楽しいでしょう。

こんなに色々な挑戦をさせてくれるWhartonって素敵です。


sailing