神宿る手」(宇神幸男、講談社文庫)を読んで以来、ずっと聴いてみたかったハイドシェックの「伝説の宇和島ライブ」を聴いた。Apple Music のお陰である。



ライブ盤といっても手直しがされて何故ライブ盤にしたのか分からないような類のものも稀にあるが、これはライブでしか聴くことのできない演奏が CD になった名盤だと思う。徐々に会場の空気も変わってくるのが分かるほどだ。

ライナーノーツやレビューを読んで、ある程度想像していたものの聞きしに勝る演奏であった。特にベートーヴェンが凄い! テンペストを聴いた後、ヘトヘトになってしまった。怪奇怪演というと語弊があるかも知れないが、なかなかこのようなベートーヴェンは聴けない。未だ聴いていらっしゃらなければ是非お聴き頂きたい演奏である。


このような演奏を毎日聴いていたら体が持たない。何度も聴き返したくなるような演奏でないからこそライブ盤としての価値があるのだろう。

宇和島シリーズは4まであるが、暫くは聴くのは無理そうだ。余韻に浸るどころか未だに体の中を駆け巡っている。