改めて、木下牧子先生の歌曲作品のコンサートを終えて、

細かい反省はもちろんありますが、

それは自分の中で次に活かすとして、

参加できて、とても得るものの多い本番だったと思いました。


終演後の集合写真。


木下先生の作品は、大学時代からいろいろと触れる機会があり、

最初は女声合唱でのことだったと思いますが、

折に触れ、好きな曲があって、それを楽しんでいました。

自分が実際にソロで演奏する機会は少なかったですが、

そんな中、東京室内歌劇場に入った直後に、

オペラ「不思議の国のアリス」に、

ケシの花役で参加する機会をいただきました。

私は、あのオペラの中の「タラの歌」のシーンがものすごく好きで、

稽古で最初に演奏を聴いたときは、かなりの衝撃でした。

自分の役でもないのに、今でも時々練習してしまいます。


そんな私の、今回の日本歌曲でしたが、

改めて、普段苦手に思う日本語の歌唱と正面から向き合い、

そして自分が何を感じて、何を表現したいのかを

考え続ける日々でした。

正解は、たぶん、ないのだけれど

「今はこれをしたい!」という気持ちを強く持って、

そのために、何かをごまかしたり、みて見ぬふりをしたり

何かを犠牲にしたり、逃げたりすることなく、

まっすぐに、向かってはいけたのかな、と思います。


立原道造の詩が、自分は結構好きなんだな、ということにも

今更ながら気がつきました。

言葉って、好みがあるので、

相性もあるし、それに気づくのも大切だなと思ったりしました。


それらの言葉の目指すところ、

そしてそれにつけられた音楽のこと、

どれも作者本人以外には、憶測になりますが

共感したり、憧れたり、

そしてそれを演奏する人の気持ち、

これは、私のものなので

最後はそこに正直に、演奏をしました。

その作業は、難しいけれど、とても楽しいことでした。

他の皆さんの演奏を聴くことも

とにかく刺激になりましたし、

またご一緒させていただいた、ピアニストのお二人も

とても素晴らしくて、勉強になることがたくさんありました。


    かみさまだったら

    みえるのかしら

         まど・みちお詩「おんがく」より


見えないものだらけで

たどり着く事はない道なのでしょうが、

その道のりには、楽しいことがまだまだありますね。

木下先生の作品を演奏する時間は、

とても楽しく、幸せなものでした。

お世話になった企画・制作の皆さまと、

会場にいらしていただいた全てのお客様と

私が舞台に立つために協力してくれる家族と、

そして作者の木下牧子先生に、感謝を込めて。

ありがとうございました。

また、機会がありますように。