独身時代
自分の給料の中でやりくりできれば、
自分に見合ったものを買えば良い。
結婚して自由に使える金がなくなると、
一番に節約始めるのは、
美容関係だよね。
高校卒業直後は王道の資生堂。
それからバイトで入ったファッションビルの、
同じフロアで仲良くなったお姉さんちの、
マリークワントでフルセット買ったり…
そこから結婚〜出産〜記憶が定かじゃない。
ただ、値段だけで彷徨ったドラックストアは強烈に記憶にある。
コレはモラ男が開業してワタシの暗黒時代の始まりからだ。
値段じゃないよ!
自然派化粧品だからこれをえらぶんだ!
そう自分に言い聞かせ使っていたある日、
ほっぺた顎首にかけて、激しい湿疹ができた。
自然派なのに!?
成分を見ると◯◯フェノール、
フェノールだらけだった。
アルコールアレルギーなんだよね。
ダメじゃん。
そこから探し出したのが、
無印良品。
敏感肌用はフェノール類の配合がない。
そして、
香料がなくて気に入った。
外国の有名ブランドの化粧品なんてワタシの肌に合わないし、匂いもキライだ。
そう思い込み続けて25年。
娘に付き合って買い物に出かけた先で、出会ってしまった。
コスメオタクな娘は、
お目当てのメーカーさんの前に立ち止まって、
「ここのファンデーションがいいだよ!
アットコスメで評価がめちゃくちゃいい!」
と力説した。
ふーん。興味のないワタシは聞き流していた。
「良かったらお試しください」
とても心地よい声が聞こえた。
「色々見てみます」
娘がやんわり答え、
(ここがいいなら即決すりゃいいじゃん)
久しぶりの人込みにつかれ始めていたワタシは、口に出したらきつくなりそうでその言葉を飲み込んだ。
「やっぱ、あのお姉さんのとこにいく。」
(やれやれ。初志貫徹してくれよ。)
またもや言葉を飲み込んだ。
「戻ってきました!!」
「ありがとうございます。」
どこまでも心地の良い声のお姉さんに娘は顔を任せていた。
ワタシはキラキラな世界を見回した。
壁面は誰もが知るハイブランドのショップ。
周りは誰もが記憶している老舗化粧品メーカー。
独特な空気が苦手と思い込んでいた。
暗黒時代を抜けたいと切望していたワタシに、
苦手と思い込んで、
キライとすり替えて、
手に入れたくないと脳内変換していたかも。
隣でぼんやりしているワタシにも何かしら話しかけてくれるお姉さん。
なんて嫌みがないんだろう。。
接客業を長くしていると、申しわけないけど、どんなに欲しいものでも、
人をみて買ってしまう。
人間だから合う合わないがあるのだけど、その合わない部分を抑えて、
どんなに欲しいものでも、対面では購入できなくなってしまった。
逆に、この人が勧めるのであればと全信頼をおいてしまう。
それは商品知識ももちろんだけど、
話の持っていきかたやタイミング、
声の抑揚。
品物のやり取り
お金のやり取り
以上にその時間が充実できなければご遠慮する。
物を買うより人と接することを重視しちゃうんだな。。。
「お母さまもどうぞ」
と手の甲にのせられた美容液をのばしてみた。
自分の人生にこの価格帯の化粧品を使う時があるのだろうか。。。
暗黒時代を抜け出す
野望を熱望に変え現実にするために起爆剤となるものと出会ってしまった。
素敵なお値段の基礎化粧品のサンプル。
素敵なお肌になるために投資をするなんてばかばかしいと思っていたが、
本物を使ったことのない自分のひがみだと反省した。
効果はすぐ実感できる。
苦手だと自分に言い聞かせていた香りは、
体内からきれいな細胞が激しく細胞分裂する気がした。
本物…
年相応にケアをせねば
それはセレブリティーな方々がすることで、
自分には相応しくないと決め込んでいた。
相応しくないのは経済力がなくて諦めていた言い訳。
本音は、どんな歳になっても綺麗でいたい。
いつか、おすすめいただいた化粧品を、
「こっからここまで、ください」
と合計金額も聞かずに、
彼女から購入したい。
願望を、野望を、熱望を、
実現させる日はそう遠く無くやってきた。








