「北朝鮮人権侵害問題啓発週間」に際して
「拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題への対処に関する法律」第4条に基づき、毎年、12月10日から同月16日までを北朝鮮人権侵害問題啓発週間とし、さまざまな事業が全国的に展開されている。
また、同法第5条の規定に基づき、政府は、毎年、国会に拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題への対処に関する政府の取組について報告するとともに、これを公表しなければならないことになっている。国会とは主権者たる国民と同義であり、この報告書に記述された内容は国民に対して約束したものと理解したい。
参考までに令和6年度の報告書を開いてみると、我が国政府がこの法律に基づいて取り組むとしている人権侵害問題は、拉致問題(拉致容疑事案を含む)、脱北者問題、日本人配偶者問題、北朝鮮内の人権侵害問題が列挙されている。
しかしながら、この法律が平成18年にできてから、いわゆる北朝鮮人権週間をはじめ年間を通じて国民の目に見える形で啓発活動が行われているのは拉致問題(拉致容疑事案を含む)だけである。政府は、国会に“我々は、これらの人権侵害問題に取り組んでいます”と報告しながら、やっていることは拉致問題(拉致容疑事案を含む)最優先と、本来平等である国民の人権に優先順位を付けて他の問題を顧みることもしていない。この報告書と実態はかい離しており、そのことが何の問題ともならず今日を迎えている。
政府に問いたい、国会において“ストックホルム合意に基づき拉致問題をはじめ全ての日本人の問題の解決に全力を尽くします”と主権者たる国民に約束したことと、家族会が同席する集会及び会合で“拉致問題最優先”と発言していることのどちらが重いのですか?
このような政府方針の曖昧さが拉致問題解決を進展させない大きな阻害要因であることを繰り返し申し上げてきた。国民は薄々感じている、拉致問題最優先と公言しても最優先されるのは家族会に関係する有名な拉致被害者であること、政府認定拉致被害者であっても家族会に属さない田中実さんは最優先の対象とはならないことを。政府には、この報告書を通じて国民に約束したことを確実に実現して欲しい。
“一刻の猶予もない”と声高に叫び続けても何の進展もない、空しい時間をいつまでも味あわないために、現実的で可能性のある施策を求めて欲しい。
令和7(2025)年12月10日
救う会徳島 代表 陶久敏郎
救う会神奈川 代表 川添友幸