甘く切ない別れ歌。「Please say you’ll never forget me 私を忘れないでって言って」
【1974年リリース】
アン・ルイスさんデビュー6作目の初ヒット曲がこの『グッド・バイ・マイ・ラブ』です。
僕には、1991年にリリースされた『WOMANISM II 〜ZEN・KYOKU・SHOO 1985-1991〜』収録の『グッド・バイ・マイ・ラブ‘91』の印象が強く、大人のアン・ルイスさんの情緒的な歌声が耳に残っているのですが、今あらためて1974年18歳の歌声を聴いてその声の伸びやかさにうっとりさせられています。
『アン・ルイス グッド・バイ・マイ・ラブ メモリアルⅡ』
こちらの動画ではアン・ルイスさんの若かりし日の歌声と大人の女性の歌声を同時に視聴できます。
こんな素敵な歌声の歌手がなぜ今歌っていないのかと思っていたのですが、パニック障害に見舞われて以来ライブがままならならなかったらしく、すでに引退されているということを知りました。
【歌詞の宇宙】
『グッバイ・マイ・ラブ』 歌:アン・ルイス
作詞:なかにし礼
作曲:平尾昌晃
歌ネット
https://www.uta-net.com/song/1683/
「グッバイ・マイ・ラブ この街角で
グッバイ・マイ・ラブ 歩いて行きましょう」
歌詞はとってもキャッチーなフレーズとメロディーから始まります。
歌は、昨年亡くなられたなかにし礼さんの詞が先にあり、作曲を担当した平尾昌晃さんによれば、このようなメロディーはそれまでなかったと言います。※1
※1 アン・ルイス『グッド・バイ・マイ・ラブ』なかにし礼・平尾昌晃
https://youtu.be/ykCfsF1sPV0?t=70
この歌の歌詞は意味をかみしめて聴くことができます。
渡辺音楽出版プロデューサー中島三千六さんの言われるように、歌詞の「行間を匂わせる構成の巧みさ」を確かに感じるのです。
「あなたは右に 私は左に
振り向いたら負けよ」
なんて、別れる二人にはどうでも良いことなのに、最後までまだ駆け引きをしている。
「グッバイ・マイ・ラブ もう一度抱いて
グッバイ・マイ・ラブ 私の涙を
あなたの頬で拭いているのよ
泣きまねじゃないの」
はたして、こんな状況ですっぱり別れることなんてできるのか?なんて思ってしまいます。
そして、間奏に英語のセリフが入るのですが、作曲の平尾昌晃さんは、このセリフがなかにし礼さんらしいと言います。
「Good bye my love
I’ll never forget you
And please, oh please,
say you’ll never forget me
We can meet again someday」
確かに1974年当時としてはかなり思い切った長さの英語でした。
当時小学生だった僕には全く理解できなかったのですが、後になってよく聴けば中学英語で十分理解できるセリフ。リメイク版を聴いた1991年の頃にはカラオケで普通に歌っていたことを思い出します。
日本語で話せばもっと伝わるはずなのにあえて英語にしたのは、なかにし礼さん自身が14歳だったアン・ルイスさんをスカウトしたという経緯もあり、ハーフの彼女らしい特別な歌にしたいという思い入れは強かったのでしょう。※2
※2 ウィキペディア
https://ja.wikipedia.org/wiki/アン・ルイス
「グッバイ・マイ・ラブ 二人の恋が
グッバイ・マイ・ラブ 真実ならば
いつかは逢える これが本当の
さよならじゃないの」
さようならと告げながら、これが最後の別れではないと望んでいる。
この恋は真実だったと信じている。そして、いつか逢えることを信じている。
今感じるこの歌のような想い。
やはり、もうアン・ルイスさんの歌う姿には出会えないのでしょうか…。
「忘れないわ もちろん あなたの名前」
グッバイ・マイ・ラブ この街角で あなたは右に 私は左に…
道頓堀 大阪