衝撃的な歌詞。狂気的になっていく主人公の心理を描写したJ-POPの金字塔!

 

【1984年リリース】

 何を隠そう、僕は浜田省吾さんの大ファンです。彼の歌を語ればなかなか終わらない(笑)。 なので、あえて今まで取り上げてこなかったのですが、当ブログも1周年。ここで1曲紹介したいと思います。

 

【歌詞の宇宙】

作詞:浜田省吾

作曲:浜田省吾

 

 高校生だった僕はこの曲を初めて聴いて大変な衝撃を受けました。

 

 自分たちを捨てた父親への恨み、育ててくれた兄への逆恨み、彼女との性愛の描写、その彼女をさらっていった金持ちの男への恨み、そして彼女への恨み節を連ね、彼らへの復讐を誓う。

 

 しかし、その復讐方法は、彼らを傷つけることではなく、「Big money」、大金の札束を目の前に叩きつけてやること。

 

 そのために大金持ちになることを誓うのです。

 

「金が奴らを変え」、「金が彼女を変え」「金は何にでも変わり」、そして「金が全てを変えてしまう」

 

 だからもう

「何も信じない」

「誰も許さない」

「何も夢見ない」

「何もかも爆破したい」

と自暴自棄になっていく心境。

 

そう、

「Money makes me crazy」

「金が俺まで変えてしまう」

金の亡者に変わってしまうのです。

 

 現状は何も変わらず、テレビの中でしか視られない億万長者の豪勢な暮らし。

ブラウン管の中だけの手の届かない夢は、「まるで悪夢のよう」だと嘆きます。

 

 全てを信じられず、許せず、何もかも失ってしまったかのような自分には、ただ復讐のための野心だけが心の中でメラメラと燃えている。

 

 そう、「もう失うものは何もない」のだから。

 

 

 

 アルバム『Down by the Main street』の1曲目、イントロから惹き込まれるギターサウンド、ビートに乗せた迫力の歌詞と歌声、狂気的になっていく主人公の叫び、そこから一旦静まったあとの空しい夢の情景。

 

 後にも先にもこれほど乗りに乗った魂の叫びのような曲はありません。あまりにも聴いたので、シングル盤が出ているとばかり思っていました。

 

 しかし、この曲だけでなく、アルバム全体から若さを爆発させたようなエネルギーを感じます。ただし、若さだけの荒々しい勢いではなく、そのエネルギーを保ったまま洗練させ、昇華させたような円熟さも感じるのです。

 

 それもそのはず。30代となった浜田省吾さんが、自らプロデュースした初めてのアルバムだそうで、相当な気合が入っていたということはアルバムの完成度からも感じることができます。

 

 バブルの絶頂期へと向かう時代、まさに多くの人が金に踊らされつつありました。

この少し前(1983年)にシンディ・ローパーさんが、『Money changes everything』という曲を発表しています。

 

「お金が全てを変えてしまうのよ!」と言って男から去っていく女性の歌なのですが、そんな時代の金の亡者の空虚さを皮肉的に歌った、まさにロック魂を地でいく名曲です。

 

 今まで考えたことはなかったのですが、もし主人公が将来大金を得たとしても、そこに幸せは待っていないんですね。

 

 今あらためて聴いてみると、バブルが弾けるどころか、(バブルという言葉もない)成金時代の幕開けの時期にこの曲ができている。そこがまたこの歌の凄いところです。

 

歌ネット

浜田省吾 MONEY 歌詞 - 歌ネット (uta-net.com)

 

 

この町のメインストリート わずか数百メートル、コロナ禍の今は・・・!?

カオサン・ストリート   バンコク   タイ