大変に大きく踏み外したわけでも、
全てが間違っていたわけでもない。
ただ、0.1mm、ズレがあった。それだけなのだ。
恋人とうまくいかないのも
空回りしてしまうのも
家族関係がこじれてしまうのも
未来が見えなくなってしまうのも。
ただ、それだけのことなのだ。
例えば、
自分を犠牲にすること。
自分の気持ちを抑えること。
自分に嘘をつくこと。
ほんの少し。
ほんの少しだったら、良いだろう。
今回は、仕方ない。僕らは、そう考える。
ほんの少しの、自己犠牲。
そう、0.1mmだけの譲歩。
だけどね、その小さな小さなズレは、
時が経ち、1000mのズレになる。
自分に聞いて見てほしい。
自分を大切にし、自分を表現し、
自分に正直であったなら、
自分は、ここにいるだろうか。
自分は、ここにいることで、
自分を大切にし、自分を表現し、
自分に正直であれるだろうか。
2014年、僕は、自分のズレに苦悶していた。
始発点にあったのは、0.1mmの些細なズレ。
ほんの少し、ほんの少し、と譲ってきたことの成果は
大きな大きなギャップになっている。
そこには、自分が一番弱い部分、
自分が一番、見たくないモノが潜んでいた。
嫌われたくない。
捨てられたくない。
悪く思われたくない。
一番、怖いモノが、現れてくる。
けれど、それはもう、手放すしかないのだ。
嫌われよう。
捨てられよう。
仕事も失おう。
社会的な評価の失墜を受け入れよう。
近くにいる大切な人たちを、傷つけよう。
恩を仇で返そう。
その代わり、0.1mの譲歩をやめようと。
0.1mmは、その全てを賭けるに、与うのだ。
自分を犠牲にしてはいけないのだ。
自分を抑えてはいけないのだ。
自分に嘘をついてはいけないのだ。
それは、0.1mmであっても、譲ってはいけない、自分の前線。
それを守るために、必要なことは、とてもシンプルなのだ。
それは、自分以外の、全てを失う勇気を持つこと。
人とのつながり、社会的な評価、安全な居場所
快適さ、これまでの経歴、積み上げてきた過去。
その全てを失う勇気。
それは、怖い。
恐ろしく、苦しい。
しかし、知っておくべきことがある。
もし全てを失っても、残るのだ。
想像しうる全てを失ったとしても、残るのだ。
「自分」が。
生まれて死んでいく、自分の歩む自分の道。
人生で一番大切なモノだけは、守ることができるのだ。
僕らは、何を失おうと、
自分を失わない限り、生きていける。
全てを失っても、自分を失わなければ、
僕らは、人生を、自分で歩いていける。
しかし
何を得たって、何を手に入れたって
自分を失ってしまえば、生きていけない。
そこには、自分の人生がないから。
0.1mmの勇気。
自分のハートを貫く、勇気。
あなたの0.1mmは、あなたの所有する全てよりも価値がある。
あなたのこれまで全ての経験よりも、全ての関係よりも、
価値があるのだ。
0.1mmを守ることは、
時に、痛いことだろう。
自分と自分の大切な人を、傷つけるだろう。
非常識で、不合理で、嘲笑の的になるだろう。
争いが、不理解が、不条理が、やってくるだろう。
でもね、それでも自分を貫くたびに、
僕らは、「そんなに大切じゃないモノ」を捨てていくことができる。
本当に自分に必要なモノを見極めていくことができる。
そして、自分の等身大の、
自分に本当にフィットする現実を、
生きることができるようになる。
自分を裏切るのは、自分だけだ。
自分を裏切らなければ、誰も、あなたを裏切ることはできない。
自分を捨てなければ、誰も、あなたを捨てることはできないのだから。