ビビの視線から逃げるように、オーブンに向かう。見てみると、ちょうど焼けたみたいだ。
「よし、取り出すぞ」
オーブンから生地を取り出し、すぐに型から外す。そして、冷めない内に周りに先程作ったソースを塗っていく。
「何か、輝いて見えますわね」
「あぁ、コーティング剤が光を反射してんだよ」
これが冷えるまで、しばらく常温で冷ます。そして、ある程度冷えたところで、肝心のグラサージュ作りだ。
「……板チョコですか?」
「あぁ、手軽で便利な材料だよ」
「そんなので、本当にザッハトルテが?」
「まぁ、見てなって」
鍋に、大きく砕いた板チョコと生クリームを入れて煮溶かす。チョコが溶けたら、トロリとするまで混ぜる。この時に、泡を立てないように静かに混ぜるのがポイントだ。
そうして出来たグラサージュを、一気に生地にかける。躊躇せずに、入ってる分全部だ。そうすれば、さっき塗ったコーティング剤のおかげで、パレットを使わなくても済むほどキレイにグラサージュが生地を包む。あとは、これをラップで包んだりせず、そのまま冷蔵庫に入れて、表面が固まったらザッハトルテの完成だ。
「よし、と。どうだ、簡単だったろ?」