それどころか、この変な空間からも抜け出す術が分からない。さて、どうしたものか……。
『あの、湊?』
耳元から聞こえるビビの心配そうな声。そういや、付けたままだったな。
「ん?どうした?」
『いえ、その……あ、ありが、とう』
うっわぁ。今の会話、聞かれちまっていたか。俺としたことが、迂闊だった。
「別に、俺は何もしてねぇよ」
『……湊は、怒ることもあるんですね』
「普段は、めったに怒ったりはしねぇんだけどな」
気まずい、何というかすっごく気まずい。内容がないようなだけに、どう接していいか分からないんだ。
『あの……』
「ど、どうしたんだ?」
『どうやったら、ここから出られるのでしょうか?』
「それが……まったく分からない」
それが分からないから勝負していたわけだしな。
『脱出ボタン的なものはないんですか?』
「いや、こういうのは一位になれば自動で終わるようプログラムされていると思ったんだが」
第一、そんなボタンがあったら間違えて押される可能性もあるから、漆翼が付けているとは思えない。押されて困るのに付いているのは自爆ボタンだけだ。まぁ、アレにしても暴走を止めたり設計技術を盗まれないようにといろいろ思惑はあるんだがな。