「いや、あの状態の時は、右手が勝手に動いてるだけだから、結果として物語が『書き換わっている』ってことしか分かってない」
『なぜお前の物語じゃないといけないのか。その答えは、その能力のせいだ』
「さっきから言ってるが、湊の能力って何なんだよ?」
『創造する右手(クリエイティブハンド)。それがお前の能力の名だ』
何か、めちゃくちゃ中二臭い名前キター。急にこいつが身近に感じられるようになったぞ。
『お前の右手には、物語を創造する力がある。これは、お前が元々持っていた能力で、その手で物語の世界を、文字通り造るわけだ。本物と、遜色ない世界をな』
「じゃあ、さっきから俺が書いた話じゃないといけないとか言ってたのも……」
『他の物語は、精巧な偽物だからな。どんなに似せようが、どこかで綻びが出る。それに比べ、お前が創った話は、拙いながらも本物の世界だ。だから、今までみたいに入ったりすることも、加奈のように出てくることもできる』
「それは、何かおかしくねぇか?」
『ん?』
昔、何かの漫画で読んだことがあるんだが、偽物の方が本物よりも本物らしいんだよな。だから……。
「やっぱり、俺よりも世界が完成されているはずなんだよ」