「城が消えちゃうのかな?それは怖いかな」
「そうじゃの。さっさと出た方が良さそうじゃな」
「……出来ない」
「えっ?」
「今は、元の世界に帰れない」
「「ど、どういうことだよ!?」」
相変わらず被せてくるなぁ……。いや、今はそんなことどうでもいい。元の世界に帰れない?いったいどういうことだ?今まで、そんなことは一度もなかったはずだぞ?
「芽瑠、いったいどうしてだ?なぜ俺たちは帰れない?」
「……本が、ない」
「本?」
「私たちは、移動の際に本を使う。行くときも、帰る時も。この世界にも、行く時に使った本と同じものがあるはず。なのに、それがどこにも見当たらない」
「いつも、どこかにあったのか?」
「『音』の時は、小屋の中。『鬼』の時は、加奈の家。『影』の時は、机の中。『クラーケン』の時は、海の家。それぞれ、簡単に見付けられる場所にあった。ただ、今回はどれだけ探しても見付からない。このままじゃ、この世界から出られない」
そうか、脱出するのにも同じ本が必要だったのか。……って、待てよ?
「その本、一冊しかないのか?」
「同じ本は二冊も存在しない」