「隼、こっちに向かって、芽瑠と詩穂の携帯をぶん投げろ!」
「そんなもん、言われなくても分かってるっつうの!」
空中で器用に携帯をぶん投げてくる隼。寸分違わず飛んできた携帯を、落とさないようにしっかりキャッチする。俺が隼に携帯を投げさせたのは、その問題のためだ。
『バシャーン!』
大きな音と共に、大量の水しぶきが上がる。そう、俺が言っている問題ってのは、このことだ。『クラーケン』が隼を放すまではいいのだが、その後はどうしようもない。なので、万が一でも海に落としてしまわないように、隼にこちらへ投げさせるように言ったのだが……。さすがは腐っても悪友だな。俺の考えている ことがちゃんと理解できたようだ。
しかし、ここでもう一つ問題がある。それは……。
「やべっ。溺れる……」
そう、もう一つの問題は、あいつが泳げないってことだ。いや、別に根っからのカナヅチってわけじゃないんだが、どうも水中は苦手らしく、百メートルも連続で泳げないらしい。しかも、それはプールでの話であって、波打つ海で泳ぐとなると、それよりも遥かに辛いだろう。
そしてさらに、予想だにしなかった問題が……。
「湊さん、芽瑠さんが一向に顔を出さないんですが、何かあったんじゃないかな!?」