真理の部屋は、すぐ近くにあったが、俺は中々扉を開けられないでいた。
「真理だって、女の子だもんな……」
俺が部屋に入れない理由はこれだった。俺の中では、真理や加奈、芽瑠や、さっきまで戦っていた詩穂なんかも、みんな『妖怪』ではなく『女の子』だった。いくら今が緊急事態とはいえ、おいそれと入っていいものなのか?
「湊さん、やっぱり優しいんですね」
いつの間にか、背後に加奈が立っていた。
「どうして……」
「湊さん、急いでいたようだったのですが、おそらく真理さんの部屋の前で躊躇しているだろうと思ったので……」
「ど、どうしてそんなこと……?」
「だって湊さん、優しいから。人の部屋に勝手に入るのを躊躇っているのだろうと思いまして」
どうやら、俺の思考は完璧に読まれていたらしい。何だろう?俺ってそんなに分かりやすいやつだったか?自分で言うのもアレだが、俺って何考えてるか分からないタイプじゃないか?
「それで、どうしたらいいのかな?」
「あ、あぁ。そうだな。掃除機が必要なんだ。取ってきてくれないか?」
「分かりました。ちょっと待っててくださいね」
真理の部屋に入ること数十秒。加奈は、しっかり掃除機を持って出てきてくれた。