はじめまして。
日曜になると娘と電車に乗って、どこかの中学校の会場へ組分けテストを受けに行く。そういう生活をしている、ごく普通の父親です。
ふだんは点描写のプリントを作る小さな店をやっているが、ここでその話をするつもりはあまりない。
書こうと思っているのは、受験する子の親としてその場にいて、見たこと、聞いたこと、考えたこと。
もうひとつ。学校説明会を、どうしても「プレゼン」として見てしまうところがある。
これは十数年、営業の仕事で提案する側の席に座ってきたせいだね。
その目で見た説明会の話も、いずれ書こうと覆う。
日曜の朝、いつもより早い時間に妻が起きている音がする。
ああ、そうか。今日は組分けテストの日だった。
学校へ行く日より早く家を出て、電車に乗り、そこからバスに乗り換える。
日曜の朝にこんなに早く動くのは、たいてい受験のときだけだ。
電車のなかで
電車のなかの娘は、日によってテンションが違う。
このあいだはテキストを開いていた。今日はぼんやり外を見ている。
「どうした」
「なんかやる気がしない」
それなら気晴らしでも、と思って聞いてみた。
「スマホのゲームでもする?」
ふだん、妻の前ではやらせない。でも今日くらいはいいだろう、という気持ちがあった。
返ってきたのは、こうだった。
「いい。脳が疲れるから、とっとく」
……おっ、おう。
そうか、とっておくのか。
こちらが気を利かせたつもりで差し出したものを、静かに断られた。
少し驚いて、少し感心して、それから黙った。
駅からバスへ
はじめて行く会場は、正直すこし不安になる。
だが、大丈夫だった。
駅を出たところに、それっぽい子がたくさんいる。
同じくらいの背丈で、同じくらいの大きさのリュックを背負って、同じ方向へ歩いていく。
地図を見る必要すらなかった。
会場の前
バス停に着いて、驚いた。
バスの本数よりも、人のほうがずっと多い。
そして、子どもを送り届けて、そのまま帰っていく親も多い。
テストは三時間ある。確かに、外で待っているのは大変だ。
付き添いの親たち
付き添いは、父親と母親が本当に半々くらいだった。
これは正直、来る前に思っていたのと違った。もっと母親が多いのだろうと、勝手に想像していた。
年齢層は高い。四十代が中心に見える。
そして、みんな落ち着いている。声の大きい人がいない。急いでいる人もいない。
母親どうしの仲良しグループは、ときどき見かける。一割にも満たないくらいだ。
父親どうしのグループは、見たことがない。
みんな、ひとりで立っている。
私も、そのひとりだ。
なぜ「後ろの席」なのか
このブログのタイトルを「説明会のうしろの席から」にした。
学校説明会に行くと、私はだいたい後ろのほうに座る。
前のほうが見やすいのは知っている。それでも後ろに座るのは、そのほうが全体が見えるからだ。
スライドだけではない。話す人の間の取り方、配られた冊子の紙の厚さ、それから——ある瞬間に、会場じゅうの親がいっせいに顔を上げること。
そういうものが、後ろからだとよく見える。
その話は、また次に書く。
点描写プリント専門店 TENZU(てんず)の店主。
子どもの受験に付き添いながら、見たことと考えたことを書いている。
SUDO CRAFT について
