年末が近づき税制改正の動きが活発になってきています。

国内企業の海外進出や外国企業を国内に留めておく目的として法人税の税率を5%下げるようです。これにより1.7兆円税収減りますが、他の法人に係る税を増税(ナフサ増税、試験研究費等税額控除廃止)することにより穴埋めをする方針のようです。


また子供手当ての財源を所得税の配偶者控除の廃止により捻出するようです。



上記のように租税は目的をもっています。



さて租税が租税法の中でどのように考えてられているかを書きたいと思います。


租税は国または地方公共団体が、公共サービスの資金として、強制的に国民に課する金銭であり、その概念要素として『公益性』、『権力性』、『非対価性』の三つが挙げられます。


『公益性』

租税が公共サービスの資金を得ることを目的としていることから、租税の性質を『公益性』と呼びます。

罰金や交通反則金は、違法な行為に対して制裁を加え、あるいはそれを防止することを目的とするもので、租税とはその性質は区分されます。

関税などは、外国からの輸入品に対して国内産業を保護することを目的としていますが、収入を得ることも目的の一つであるため租税の一種と考えられます。


『権力性』

租税が上記の通り公共サービスの資金として、国民の富の一部を強制的に獲得するための手段であり、その意味で租税は、国民の財産権への侵害の性質を持たざるをえません。この国民の富の一部を強制的に獲得するという性質から租税の性質を『権力性』と呼びます。


『非対価性』

租税が公共サービスの資金であるから広い意味では対価関係にあるといえますが、特定の公共サービスと対価関係に立つものではありません。

租税は、国民の一人一人が公共サービスから受ける利益とは一応無関係に、国民の担税力(租税を負担する経済的能力)に応じて徴収され、それが混和されたうえで、公共サービスのために支出されるものです。

租税のこの性質を、租税の『非対価性』と呼びます。

ただし、租税の中には例外的に、最初から特定の目的にあてることが予定されてされているものがあり、これを目的税と呼びます。目的税は、特定のサービスの受益者から徴収されることが多く、その意味で目的税は、程度の差はあるが対価性を有すること多いです。



以上のとおり租税は三つの性格を有します。『公共性』『非対価性』は理解しやすいですが、『権力性』はピンときません。それは私が、公共サービスを受ける側の視点から見ているからでしょうか。

また『権力性』は国の徴収視点であること。そして私が租税の強制徴収されてるという意識が乏しいせいでしょうか。これは私が税理士事務所に勤務しているためかもしれませんね。



次回は『租税の機能』について書きたいと思います。


参考文献 金子宏ほか著 『税法入門(第6版)』 (2008年 有斐閣新書 )


税法入門 第6版 (有斐閣新書)/金子 宏

¥1,050
Amazon.co.jp