自分自身、政治的あるいは国際関係的にはものすごく保守的なのです。

それは、常識や伝統という歴史から出てくるルールの束、そしてその集合を書いた憲法と法体系、それを執行する政府という枠組みから出来る国民国家を前提の上で、経済循環が成立するからです。

また、日本は長い安定統治があったために、略奪簒奪の経済ではなかく、長期関係と信頼を重んじる経済であると考えているからです。

そのため、グローバル化は資金の流出や利害調整の困難な資金の流入を招き、国民に還元されにくい構造になる傾向があると考えられます。

国連は利害調整機構として機能していませんし、(というかUnited Nation=連合国だから当たりまえ)たとえ、そのように機能したとしても、まだまだ全利害共同体(今は国民国家)の共通認識として成立させるためには、時間がかかるでしょう。逆に、そのようなやり方でない場合は、世界が多様性を失い、大変なDistopiaになることが予見されます。

一方で、技術屋あがりな面があり、イノベーションや情報技術といったものに肯定的です。また、科学技術は多くの人に、物質的な面で効用をもたらしました。(精神面が良くなったかは別です。)しかし、イノベーションの議論も情報技術の議論も、グローバル化と非常に仲が良いのです。

どちらも、世界中の消費者に目を向け、世界標準を奪い合う戦いをしています。
さらに、各国が高度人材を奪い合っています。

ここを、整合性を取りながらうまくやるための論理をつくることが出来ず、ずっと葛藤したままに日々仕事もままおろそかになりながら、過ごしてしまっていて、解決しないわけです。

誰か良い知恵でもないものでしょうか。
今、「研究開発のマネジメント」小久保厚郎著を読み始めていますが、この中で、決定的な一節があります。

備忘録として書き記します。
「知的所有権の威力がすさまじいため、基礎的な科学領域でも、事業として成り立つようになった。というのは、基本的な領域が特許化されてしまうと、さしもの大企業も特許侵害になり事業基盤を揺るがされかねないからだ。したがって、基礎研究の収益ポテンシャルは巨大なのだ。」
「開発された技術をもちいて、実際に商品になる時期は遠い先基礎研究段階でも十分「事業」になる。早期研究であっても投資対象としては十分魅力的だから、リスクマネーを簡単に集めることが出来る。」

そう、基礎研究段階で事業化することができるのである。
今、「実用化」というものを見て、産業振興の観点から、行政で研究開発を支援する仕事をしています。

そこにいて思うことは、「これは無駄だ」ということです。

勿論、すべてのことが無駄だとは思いませんが、非常に無駄だ多いということです。

これは、なぜでしょうか。

まず、この仕事が投資、ネットワーキング、プロジェクトマネジメントなる。これらの一つ一つを見ていきたい。

<投資>
1、実用化はマーケットに商品を出すということであり、どのマーケットが有望かは、その会社  しかわからない。それを外したら、会社はつぶれればいい。

2、産業面での実用化であれば儲かる。よって、行政が支援する必要はない。

3、儲からないのは、研究開発ではなく、ビジネスモデルや会社の体制が問題。

4、予算制であるため、○●省の一元的判断や政治的な影響、税金原資という限界のため、継続  的投資を行えない。

5、日本は金余りであるため、民間に資金がないわけではない。

6、生産体制や販路面では、大企業が圧倒的に有利だが、補助金はバイアウトを阻害する可能性  がある。

<ネットワーキング>
7、ネットワーキングで効果をあげられるなら、ビジネスになる。むしろ、ネットワーキングす  べき場所に金と人がないことが問題。

8、大学と企業が直接結びついた方が早い。(支援機関は不要。これは大学の研究費がほとんど  税金になっていることに問題がある。特に工学部。理学は実学ではないため、国で保護して  よい。)

9、インターネットによって、情報流通コストが激減した現代において、やり方を把握しておけ  ば、スタートアップのマーケッティングは可能。その後も、バイアウトで可能。

<プロジェクトマネジメント>
10、社内の意思決定に影響を与えるように働きかける場合もあるが、情報を持っていない行政   が口を出しても良い結果は得られない。(これを直すには、企業の内部意思決定様式を変   更する必要があり、コンサルするほうが、企業としてよい。)

11、今や、国家目標を皆で共通して持つ時代は終焉した。そのため、利害対立が大きくなる。   ナショナルプロジェクトは有効に機能しない。

12、税金のため、資金を素早く供給することが困難。

13、税金原資→行政的→民主主義的意思決定のため、計画変更に時間がかかる。

14、マネジメントのコツは、マネジメントコストを減らすことであるが、コスト感覚がないた   め、高マネジメント費を発生させており、国として無駄である。

これらのため、全くの無駄なのである。

一方、有益なことも多少ある。

1、エネルギーや資源のような国際変動を受けやすいものは、投資が向かず、セキュリティー面  においても重要であるため意味はある。ただし、固定価格買い取り(FIT)であれば、意  味は薄い。(FITも変動するが。)

2、マーケットが明確にない、大規模化していないものについて、供給力を上げる意味での支援  はあり。ただし、実用化は適切なタイミングでビジネスにする必要があるため、ずっと先の  産業振興になる。また、人材の流動性を考えると、その時の技術投資で技術を養った人材や  組織が将来の実用近傍にいるとは限らないため、効率は薄い。人材育成と捉えて行うほうが  良い。また、この段階であると、皆で協力する意味も薄い。ただし、いわゆる「現場技術」  の更新には有益。

3、航空機のような大規模かつ、マーケットが判明しており、さらに供給力が足りておらず、競  争劣位にある状況では、意味を成す。ただし、競争劣位環境で、産業振興として行う必要が
  あるのかは不明。(他国へ行けばいいのではという発想。)

4、エネルギーや資源など、最もベースとなるものについては、セキュリティー上その技術力を  高めておくのは、これらの輸入が多い日本において重要。

以上。