麻婆豆腐は麻婆ナスくらい美味い
はろー!
うちの目の前には高そうなマンションがある。数年前に新築されたものだ。それまでは空き地だった。駅までの送迎バスまで完備されている。
ぼくがずっと住んでるこの家は、隣に高級住宅が建ったからと言って綺麗になるわけでもウォシュレットが急に設備として取り入れられるわけでもなくボロいままだ。
大地震が起これば間違いなく崩壊するだろう。3階~4階くらいなら飛べるぼくは生き延びるだろうから問題視はしていない。
ぼくはアパルトヘイトが成立したな、と抗いとしてというわけじゃないけど発泡酒なんか飲んでたまるかとまったく持って意味のないことをしている。
家族で住んでる人も多いし、そのまたすぐ近くには中学校がある。そこをウロチョロしてるぼくはきっと何らかのアダ名がついてるだろう(被害妄想)
しかしぼくは自分が裕福であることを疑わない。世界一の貧乏を目指したら家も酒も健康保険も調味料でさえ邪魔になる。
そんなことじゃ世界一にはなれない。そしてその邪魔なものすべてが裕福である何よりの証明だ。というか日本人がそうなることはおそらく不可能だ。
そして先日、5年ぶりくらいにステージに立った。否、立たせて頂いた。(貧乏にこんなことが出来るか?)結局最後までカンを取り戻すことは出来なかった。でも歌えてよかった。
お金を取っていいレベルには到底達していなかったけど、ぼくは幸せだった。
出番直前の楽屋では相棒が「この歳でこんなに緊張できるってありがたい」と煙草をガンに侵されるほど吸っている。(そういえばリハのあとから行方をくらましていた)
ぼくは「おれがなんとかする」と言ったものの完全に強がり。吐きそうだった。
オンタイムでいきます、とスタッフさんが来て残り5分。腹をくくるしかなく「もう逃げれないな」と2人で笑う。
お客さんの前に出たら、友達の子どもが手を振ってて救われた。そして妹が笑ってた。
わかんないけど、いや、わかんないけど、舞台に立つぼくを喜んでくれてたんだと思う。ぼくは来てくれた友達も妹の人生も知ってる。知ってるなんて生意気だけど。
今日はおれの人生を知ってくれ、と思ったらようやく開き直れた。お前来てたの!?ってやつもいた。
朝まで飲んで次の日も同じライブハウスに足を運んだ。忘れ物があったし同郷のライブもあったからだ。出番もないしヤジだけ飛ばして飲んだくれた。次はZEPPらしい(なに売れとんねん)
みんな酔っぱらってて楽しかったなー。
音楽への、舞台への情熱を思い出した。決してぬるい世界じゃないけどもっかい飛び込んでみようかしら?地獄だけどな。
2日間で会った彼らは本気だから本気で笑う。暴れたりブチ切れたりおかしくなったりって姿をぼくは何回も見てる。
「ひどかったよあんたら」と話すと、いやお前もだよ!と総突っ込みをくらう。今はなくなってしまったらしいけど、打ち上げで使ってた焼肉屋の壁は穴だらけだった。記念すべき1つ目はぼくが空けたらしい。覚えてないけど。
音楽をするにはお金がかかる。なんでもそうか。
結局4日くらい飲み続けてやっと落ち着いたところ。いろいろ考えさせられた。飲み会、ライブ、コミニティーのオフ会。すべての誘いを断って、ぼくは家でぼーっとしている。
音楽のこと、ステージのこと、仕事。お金あっても解決しねえな、とライブが近づくにつれ確信する。
先日受けたオンライン面接。
内側カメラが壊れててぼくの顔は映っていなかったのだ。もっと言えば遅刻してるし、ほかの参加者の面談中に「いまのうち充電しよーっと♪」などとしてたらスマホが熱を持ってしまったらしく電源が落ちた。
再び入った頃には参加者全員がすでに去っていて、面接官だけがギリ残ってた。「あ、すみません」と話は出来たが、誰がこんなやつ雇うか。と自分自身で思う。
しかし次の日に”採用のお知らせ”が届いた。この会社アホなのか?と少し興味がわき、働いてみようと思っている。というか借金を返さねば。このままでは夏のキャンプもアブナイ。
さっさとワシを社長にせんかい、と理不尽な感情をさらりと隠し、今宵もなんとか生きている。
お金のないぼくは今だけのものだし、こないだの”初”ライブはあの日だけのものだ。あの瞬間にしか存在しない。もう2度とない。
動画ないの?と言われたけど、それはあの日あの場所に居た人だけのものだよ!と思う。ぼくのライブ人生でいちばんヘタクソなシーンを誰が分けてやるものか。
次回はすこし上手くなってるからね。
真剣になれる理由ができた。ギターも練習しよう、ぼくの技術は中学校のときのままだ。おれはボーカリストなんじゃ!などとわけのわからんことを抜かすのもやめよう。
泣きたくなるくらい努力します。みんなの前では笑えるように。
ではまた!またね!
今宵のおやすみBGM
「ライク・ア・ローリングストーン/ボブ・ディラン」(どんな気がする。誰にも知られないことは、転がる石のようなことは)