会社に着いて、白衣に着替える。
時計は、まだ18:30をまわったところ。
食堂でコーヒーを飲んでひと息つく。



そこへ、開発部の水口係長がカップ麺を片手にやってきた。



「お疲れ様です」


お決まりの挨拶をする。


「仕事、20:00からでしょ。やけに早いね」


「早く、着き過ぎちゃいまして‥‥」

「水口さんこそ、こんな時間にランチですか?」



「うん。これから白玉の試作があってね」



そこに、製造部のパートさんがやってきた。

どうやら先日、回収騒ぎのあった水ようかんが、東北地方の出荷先から戻ってきたらしい。


「先日出荷の水ようかん、最後の回収分が戻ってきました」

パートさんが、水口さんに伝える。


そこから、一気に空気が重くなったような気がした。

パートさんが、喫煙ルームに消えて行ったので、重々しく口を開く。


「この度の一件、皆さまにご迷惑をお掛けして、本当に申し訳ありません」



「あー‥‥水ようかんの件?気にしないでいいよ」


(そう言われたって、気休めにもならないよ‥‥ダウン)


「開発が企画した商品って実のところ、試作してOKが出たら、繰り返し試作しないことが多いんだよ」
「だから、今回みたいなことがあると勉強になるし、より良いものを作りたいって励みにもなるんだ」


「そう言われましてもガーン

「‥‥だよね。でも、オレたち開発の人間は首藤さんが悪いなんて言ってるヤツはひとりもいないよ。だから、めげずに頑張ってビックリマーク


「はい‥‥ありがとうございます」

そう言って、食堂をあとにする。



あの日に製造して、出荷した水ようかんの数は、約8000個。
↓のカメラが、別の日に製造した「至福の口どけ~とろける水ようかん~」です。


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