謎解きですよ。
20年近くピアノの仕事に就いてきましたが、こんな難問は初めてです。
そんな不思議な一件は一昨日の事です。夕方の最後の仕事。グランドピアノでした。まず最初に違和感を感じたのはピアノを見た瞬間です。

鍵盤の蓋の閉まりが不完全。まぁでもよくある事。鍵盤の端にクロスなんか置いていて閉まりきってないケースがあるから。

蓋を開けると鍵盤の左右の部品が浮いているではありませんか。なんでだろー?きちんとはめようとしてもなぜかはまらない。

その部品を固定しているネジもなぜか外れてました。

そして金属の部品。内部に置いてありました。金色の横長の棒状の部品はこの位置に置いてありました。
これはグランドピアノの真ん中のペダルの部品です。
ますますわからないです。外す必要がない部品です。おかげで真ん中のペダルは踏んでもスカスカ。
そして極めつけは止音不良。普通に弾いているのに、右ペダルを踏んだ状態になっております。

この黒い部品が止音する部品、ダンパーです。よく見ると全部浮いています。

中のアクションと鍵盤を引っ張り出すとなんと、浮いていたダンパーがちゃんと弦に下りる。
????!! なんじゃこりゃぁ?

ダンパーの根元です。これは直した後ですが、最初開けた時はこの部品の高さがバラバラ。
謎だらけですが、この右のペダル調整を一からやり直す必要があるようです。お客さん曰く、年末に15年振りに調律したそうです。しかし調律記録は無し。最後の記載はその15年前の記録のみ。しかもお客さんはその年末の調律師に不信感を持ってらっしゃる。
時間の掛かりそうな作業です。

ネジを緩めてこの部品が全部極端に下げられていたのです。だからアクションを入れるとダンパーが持ち上げられてしまい、音が鳴りっぱなしになる訳です。ネジが1本違う。
実は最初この1本だけネジが無くなっていました。そしてこのダンパーだけ外されていました。
アクションを出しては入れてを繰り返し、とにかくダンパーが適切に動くように直しました。一応これで音はちゃんと出る。
次にペダルの調整です。
なんかペダルもおかしい。あまり踏み込めないんです。ピアノの下に潜るとなにやらゴムの部品が落ちてました。
まさかこれは。

この黒いゴムでした。
元の場所にはめるとどうでしょう。少しペダルを調整すると全て正常に動く。
この頃には何となく原因がわかりました。
このゴム片が恐らく取れてしまっていたのでしょう。その為、ペダルを踏んでも効かなかったはず。だからちゃんとペダルが動くように調整をしようとしたが目一杯調整ネジを引っ張り出しても当然ダンパーは上がりきらない。
だからダンパーの根元のネジを緩め、根元の部品その物を下げました。そしてそして・・・
止音不良のピアノの完成~⤵️
ってお~~ぃ!!なんじゃそりゃぁ❗️
教科書通りに作業するとこうなっちゃうわなぁ。

緑のフェルトの上にある金色の小さな部品。この部品を知らなかったのかなぁ?
これはペダルの運動量を調整するネジ。
せめてこれに気付いていれば何とかなったであろうに。
まぁとにかく右ペダルは全部元通りに。しかし真ん中のペダルの部品が外されていた謎が残る。しかもその部品を固定していたネジが1本折れて、中に残ったままです。
あんまり使うペダルではないのでそのまま調律する事になりました。
調律しながら考えていました。
わかった~
謎が全て解けました。おまんのやった事は全てお見通しゼよ。絡まった糸が全部ほどけた。
右ペダルと真ん中のペダル。一見すると別々なので関係ないと思いますが、そういう事かぁ。
12月に来た調律師は石巻の有名楽器屋。ヤマハの特約店です。モンキーハウスとだけ言っておきましょう。
その会社ではなく、これは調律師個人の問題です。お客さんがその時の領収書を見せてくれたのですが、それもおかしいんです。領収書って大概複写になってます。金額や名前はちゃんと複写で記入されているんですが、領収書の片隅に手書きで、調律師の名前と携帯番号が書いてありました。インチキをする典型的なやり方です。
恐らくペダルの調整をする時に作業の選択を間違って行った。そして次の段階で正しい選択をすれば最初の間違いにも気付いたでしょうが、その選択も間違ったチョイスをした訳です。おかしな調整をしなければいけないので、真ん中のペダルの部品が妨げになるから外してしまったんでしょうな。
そしてほぼ間違いないと思いますが、時間の余裕がなく、ネジが折れたり無くしたりしたのでしょう。だいぶ焦ってたはずです。アクションを奥まで入れるより浅く入れる事で少しでも止音不良を解消しようとした結果、鍵盤周りの部品が適切に取り付けれないから蓋もちゃんと閉まらなかった訳です。
お客さんの話ではその調律師は説明もよくわからなく、そそくさと帰って行ったそうです。会社にクレームの連絡が入るのを恐れて自分の携帯電話の番号を書いて行った訳です。
いやぁ大変な謎解きでした。原因はただのゴム片が外れていただけなのを、前の調律師が無茶苦茶にして行ったピアノでした。しかし何とも大胆なやり方です。全部止音不良で外した部品を譜面台の下にそのまま置いて行くなんて。
話を聞くと若い調律師だったようですが、大体の年齢を聞くと30歳位だそうです。全然若手じゃあないじゃないですか。新米ならやりそうな一件です。
夕方にお邪魔して、出てきたら20時頃になってました。なんと雪が積もっているではありませんか。もう4月やちゅうねん

昨日は満開の桜に雪が積もるという訳のわからん1日でした。
おまけ

先週行ったお宅で奥さんがお子さんをお迎えに行く間に子守りしました。
が、終始泣きっぱなし。玄関から出て行こうとします。
おまけパート2
カセットテープの自動演奏装置
