平成29年初版です。享徳の乱(講談社選書メチエ)、関東戦国全史(洋泉社歴史新書y)に続く関東戦国時代史の3冊目となります。

いやー本書でも地名・人名の洪水はすごいです。時々めげそうになりながらもなんとか5日で231ページを読み切りました。なんのかんの言っても歴史が好きなんですね。

今回は関東における北条氏VS上杉氏の55年戦争が軸となります。上杉氏には扇谷・山内の二流があり山内家が関東管領家でした。最後の管領が戦いに負けて越後の家臣長尾氏を頼り上杉の家督と関東管領職を譲ります。これが名将上杉謙信の誕生であります。対する北条氏は不世出の英雄早雲に始まり4代にわたって関東の覇者たらんとしています。まさに龍虎相撃つ戦国模様が描かれる訳ですが本書は一味違います。「国衆」と呼ばれる在地の中小武士がいかに戦国大名の存在を規制したかというところを非常に細かく書いてあります。固有名詞の氾濫には悩まされますがじっくり読み込むと面白いです。

それにしても彼らはなぜ戦うのでしょうか。「生きるためだ」と言われれば返す言葉もないのですがどうもそれだけではないように思います。謙信は関東管領の名跡を背負って28年間毎年のように関東侵攻を続けます。謙信特有の性格もあったかもしれませんが、そこには我々日本人にも通じるある美意識も潜んでいたように思えてなりません。

本日もお付き合い下さりありがとうございます。