バルト9で鑑賞。

●満足度:85点

これは、なんともイヤ~な映画。
これ以上ないくらい最悪の家庭崩壊の図である。

○絶望する家族

父(三浦友和)
 古い世代の強くて横暴で独善的なDV親父。いつからこんなんなっちゃったのか…。お近づきになりたくない最低親父。
 
妻(南果歩)
 好きでもないのに、こんな男と結婚したのが運の尽き。こんな夫の妻なのに、料理をしてる姿は一切映らず、いつも出前かコンビニ飯。どっかのお嬢様だったのかな、精神的にもろい。

長男(新井浩文)
 出来のいい優秀な長男。と思いきや、要領が悪くて上がり症。親父に気に入られているが、親父には絶対逆らえない。事なかれ主義のまま親父から離れて幸せな家庭を気づけるかと思ったが…。

次男(若葉竜也)
 出来の悪い次男。努力したこともない、バイトも長続きしない。いつか一発逆転を夢見るが、こんな家庭でねじまがっちゃったのか、生まれながらのサイコパスなのか、若くして通り魔デビューをし、シャバでの人生を終える。

次男と獄中婚する女(田中麗奈)
 不快ファミリー以上に、こいつヤベエ度MAX。死刑廃止の信念が突き抜けすぎて、なぜか獄中婚をして次男を改心させようとするクレイジーガール。一番独善的な人に見えた。君は親父を救うべきだったんじゃないか?


○狂ったイノシシ
さて、本作での通り魔という凶行は、一体何がもたらしたのか?
今年は邦画のサイコパスイヤーというぐらいに「ヒメアノ~ル」「クリーピー」に本作と、サイコパスという存在に着目したような作品が続出。

サイコパスとは生まれながらに反社会的気質を持っている人を指すが、本作の殺人鬼、次男の稔君はサイコパスに当たるのであろうか。本作では、家庭崩壊の様がゴリゴリと描かれ、かなり両親に問題ありということは明らか。健全に見えた長男も、あんなんなっちゃったし。だから、家庭環境やままならない人生のせいで人格がねじ曲がった説も捨てきれないだろう。

でも、だったら家族に怒りの矛先が向くのが自然ではないか。世の殺人事件の多くは、普通の人が家庭内で起こすものであるのだし。彼は、家族には何の執着もないように見えた。
クライマックスでの彼の「狂ったイノシシ」発言や、長男の子の事故の件を加味すると、やはり彼はサイコパスだった説が有力のように思える。だとすれば、刑罰も愛も、彼を救うことはできない、何の意味もないものなのである。

でも、一瞬だけ家族みたいに戻れた瞬間あったじゃん。あの時に、親父さえ切り捨てることができていれば、あんな事にはならなかったのかもしれなかった。そう思うと、やはりああいう親父みたいな存在こそが害悪であり、更生が必要だったんじゃなかろうか。