監督: 菊地健雄 脚本: 杉原憲明
キャスト:中村ゆり、斉藤陽一郎、桐生コウジ、染谷将太、菊地凛子、柳憂怜、山本剛史、松本若菜、政岡泰志

最近気になっているバンド「森は生きている」の曲が使われている
(実際、劇伴もやっているよう)ということもあって、テアトル新宿で鑑賞。


●鑑賞:70点

子供の頃に幻の鹿を目撃し、そしてそれがウソ呼ばわりされてしまったことでバラバラになってしまった三兄妹の話。

何でこんな風になっちゃったのか。

2人とも出て行ってしまって、長男だし家を守らなきゃいけないって勝手に思って土地に縛られる長男。

鹿事件のせいで病んでしまった(と思い込んでいる)次男。

こんな田舎うんざりってことで都会に出て行ってしまった長女。

実際、鹿事件がこの三人の人生に本当に影響を与えていたのかは計り知れない。
そんな事がなくても、下二人は出て行っただろうし、どのみち家に縛られていたことには疑いようもない。

次男の病みももともとの性格(ずるくて、無責任)からすると、単に事件のせいで病気になったことにして現実から逃げているだけのようにも見える。

長女の人生には、全然影響していないように見える。
※長男、次男の苦悩に比べて妹が抱えているものがあまり描かれているようにみえなかったのだが、それは想像力が足りないのだろうか。

共通点として、三人とも根暗なのである。
表立って人のせい鹿のせいにするのは次男だけだが、三人とも、何かのせいにして自分の境遇を嘆いている。

そんなもんだから、くよくよした雰囲気で、観ている方としてもずっと居心地が悪い。
いつ爆発して開放させてくれるかと待ちわびるが、そんなカタルシスは最後までない。
笑えるシーンも、痛みとセットなので、無邪気に笑えない。
コメディとしても観られない。

登場人物が落ち込もうが怒ろうが、突き放したような、よく言えば見守るような演出で、感情を煽らない。
これには劇伴もうまく効いているので、「森は生きている」好きとしても嬉しいところ。

この映画は、鹿神様の視点で描かれているようでもある。
振り返ってみると、三人の最大のピンチを鹿神様が救ってくれたようにも見える。
でも、終わってみてもそんなにスッキリしない。

それぞれの他人のせいにする気持ちが薄まり、ほんの少ーしだけ肩の荷が下りただけ。
現実はあまり変わっていないので、これからの彼らがどうなっていくのかは誰にもわからない。

というわけで、演出、キャストはかなり好みではあるものの、見ていて居心地悪い時間が多い割に、最後までスッキリしないのが、プラスに思えず。
終ってみれば、つかみどころのない映画だったなーという印象。