サラリーマンブログ 酒エピソード~中国出張編~
ブライダルダイエットのため、超酒豪の私がかれこれ3か月間アルコールを摂取していません・・・。
そこで、今回は仕事にまつわるお酒エピソードのお話なぞをしようと思います。
少し前のお話(実話)です
--------------
昨今日本のモノづくりの拠点は、大半が国内から中国へと移っている。
私の勤める会社も、小さなメーカーながら中国に工場を持っており、設計担当者が現地に出張することもしばしばである。
その時はちょうど私の設計担当製品の部品が金型屋で成形されており、仕上がり状況の確認と今後の修正のために上海へ出向く事になっていた。
到着した当日は必ず現地社員の人達が歓待の宴を開いてくれるのだけど、私は出張前日に大学時代の恩師と飲みに行った際、寿司屋で食中りを起こし、体が全くアルコールを受け付けなくなってしまっていた。
私の出張している地域では、基本的に油分の多い食事が大半で、飲み物といえば、ビールを数杯飲んだ後、紹興酒にシフトするのが常である。
こちらの女性はお酒も飲まず、タバコも吸わないという人が大半で、私のような飲んで吸って吸って吸って飲んで飲んでな女性はまずいない。
(きっと中国人社員の皆様からは不良中年に見えているに違いあるまい)
ちなみに紹興酒は会社からの持ち込み品である。日本でやると明らかに怒られる事が当然のようにまかり通っている事が、この国では多々ある。
この宴席で私がタイトルのように切実に思った理由は下記の通りである。以下長文
主な登場人物紹介ーーーー
W課長(私の直属の上司。話題の中心に自分がいないと気がすまない、ちょっと困ったさんな40代日本人男性。この中で一番古株。)
K部長(中国の工場長。日本と中国を行き来するバイタリティあふれる、ちょっぴり権力欲過多な50代中国人男性。)
Tさん(中国工場勤務。仕事に実直でアルコール大好きな30代後半日本人男性。)
Hさん(中国工場勤務。まじめで争いを好まない、人当たりの良い30第後半代日本人男性。)
社長(本社勤務。K部長と犬猿の仲の70代日本人男性。話題にのみ登場)
--------------
お酒が入ると人は解放的になる。
特に、まじめな仕事人間程普段溜め込んでいるあれやこれやが出るわけで・・・。
K部長が持ち込んだ大量の紹興酒が程よく減ってきた頃、最初に口火を切ったのはTさんだった。
どうやら、先日本社の社長がこちらに出張に来た際、
『ここの工場は段取りが悪くて成形品もいつまでも汚いとW課長が言っていた。もっとちゃんと仕事をしろ』
というような事をかなり長いことネチネチとTさんに言って帰ったらしく
「どのあたりが段取りが悪いのでしょうか?」
とW課長に質問を投げかけた。
Tさんはとても几帳面に仕事をこなす人なので、W課長が言ったとされる社長の言葉に我慢がならなかったのだろう。
口調はそれでも穏やかに、食ってかかった。
それに対するW課長の反論
「俺が悪いのか?」
・・・課長、Tさんが言ってるのは
「どのあたりの段取りが悪いのか」
を具体的に聞いているのであって、課長の人格性格どうこうは聞いていないと思います。
しかし、W課長は基本人との会話があまり得意ではない。というか質問に対して的を得た回答が返ってきたためしがない。
そして自分は愚痴っぽいのに人の愚痴が全く聞けない困ったさんである。
仕事の愚痴や、困った事、その他諸々に対して返ってくる言葉といえば
『俺が悪いのか?』『俺悪者?』『俺に言うな』
と、必ず『俺』をつけて返してくる『オレオレ上司』なのである。
そして実際W課長に非がある場合でも
「もー!!俺が一番悪者でいいよ!」
と言う割りに自分が悪いとは全く思っていない。(悪い人ではない。困ったさんなのだ)
今回もその例の多分に漏れず、ことごとくTさんの発言を
「ちがう!お前間違ってる!」(←聞く限りにおいて何も間違ってない)
と途中で遮り倒していき、ますますTさんのフラストレーションは溜まっていくばかり。
私はと言えば、そんなやりとりを素面で聞いていなければならず、苦痛なことこの上ない。
本来ならば、同じペースでアルコールを流し込み、W課長とTさんは放っておいて、陽気な気分で他の人と談笑したり、煙をふかしている所であろうが、お寿司達に破壊された胃と肝臓はどうしても酒類と油モノを受け入れてくれず、 キュウリの酢漬けとお茶でやり過ごす宴会の乱・・・。
Hさんは黙々と紹興酒を飲みながら、W課長とTさんのやりあいを律儀に見守っている。
どんどん増殖していく紹興酒の空瓶。この時、午後7時半・・。
お酒の勢いも手伝って、自分がいかに役員と役員の間の板ばさみになっていて大変な思いをしているかと饒舌に語りだすW課長。
そこでTさんが
「それを言うならK部長の身の削り方の方がすごいですよ。何で会社のためにそこまでできるのか、本当に尊敬しますもん。」
と横槍を入れると、K部長も会話に加わり戦況はさらなる混戦へ・・・・。
W課長「俺の方がよっぽど板ばさみになってるわ!」
Tさん「いや、K部長のは本当に半端ないですわ。」
K部長「ダッテー、そうするしかしゃーないやん」
(↑部下にたたえらえて嬉しいのが顔に出ている)
W課長「俺なんか、身を削りすぎて3分の1無いわ!」
K部長「私なんか、半分ナイヨ」
W課長「じゃあ俺は3分の2減ってるよ!」
もはや子供の言い合いである。
大半の殿方は (※私の経験による個人的見解にすぎませんが)
【自分が誰よりも苦労をしていて、誰よりも大変な思いをしていて、誰よりも仕事をがんばっている】
と思っている。
そしてそれを他者にもわかってもらいたい生き物で
『大変ですね。』『がんばってますね。』『すごいですね』
と言ってもらいたいという欲求がこの上なく大きい。
40代中間管理職に顕著に見られる傾向である。 (←※私の経験による個人的見解にすぎませんが。大事な事なので2回言います)
仕事であるから、時には上記のようなリップサービスもするが、酔っ払いは得てしてソレを何回も要求してくる。
めんどくさい、若干もう帰りたい・・・・・
そう思って再びHさんを見ると、やはり黙々と紹興酒を飲みながら、W課長とTさんとK部長のやりあいを律儀に見守っている。
お酒が入っても真面目な方だ。
宴も終焉に近づき、やっと帰れると思ったその時、喧嘩ではないけれど言葉の応酬が続いていた、というより 横やりを入れられまくってフラストレーションの溜まっていたであろうTさんがおもむろに
「2軒目行きましょう!!」
と言い出した。
えええええ・・・・・もう帰ろうよ。素面でこの言い合いを聞き続けるの、正直つらいよ・・・・。
ていうか、日本に帰っていいですか?
この時、
若干話を聞きつかれたのでもう帰りたい→私、Hさん
飲みたい喋りたい危険地帯→W課長、Tさん
ドッチデモイイヨー→K部長
結果、終結を迎えるかに思えた戦闘は和議協定が成立せず、さらなる激戦へと変化して行った。
外では飲まず、工場の食堂で飲みなおそうという話になり、他のメンバーが帰宅したあと
W課長、K部長、Tさん、Hさん、私の5人で食堂へ。
K部長が慣れた手つきで肴を作り、さらなる紹興酒(どっから出てくるんだ)を追加し、第二ラウンド開始。
なみなみと注がれる紹興酒。これで一人頭4~5本は開けている事になる。
私はと言えば、相変わらず飲めるわけでもなく、【統一武夷山烏龍茶】と書かれた烏龍茶を冷蔵庫から出した。
本当は塩炭酸ジュースがよかったがまだ出回っていないらしい。
烏龍茶の程よい甘みが心地よい。
こっちのお茶は何でどれもこれもほんのり甘いのだろうか。
そして議題は個人の内容から会社レベルの話へ。
ここでもTさんが議論を展開しようとするが、例によってW課長に話の腰を折られまくっている。
あまりに遮るものだから、私は少林寺拳法の使い手であるTさんが、いつW課長を蹴り倒してしまわないかと肝の冷える思いで見守っていた。
うちの会社は、中国の工場で基板を作る前に、国内の外注業者に試作基板を作らせて動作確認をするという、何ともまわりくどい事をしている。
国内で作った基板は安全でしっかりしている分コストも高く、使用部品も高価なため、量産はできない。
しかも、国内の外注で作った基盤回路図が中国で使えるかというと、コストが合わないため使えない。
ではなぜそのような無駄な事をするのかというと、そこはいわゆる【大人の事情】があるのであろう。
中国の工場での基板関係の責任を一手に背負うTさんとしては、使えない高コストの国内生産は
【会社として】
辞めるべきだという事を言いたかったようなのだけど、
「俺が悪者なわけ!?」
とW課長節が炸裂。相変わらず会話が成立しません。
私はW課長の直属の部下になって仕事をしだして久しいので
【この人に愚痴は言うまい】という悟りを開いている。
なぜなら、決まって上記のように返され、言えば言うほどストレスが溜まるからだ。
K部長が
「うちの会社の役員達は仕事してるんじゃなくて政治をしている。」
といったことを皮切りに「会社は変わるか」という論争に発展。
W課長「会社は俺が変える!」
K部長「かわらない、絶対かわらないヨー」
W課長「だから俺が変えるって!」
K部長「コッチの工場任されて5年になるケド、なんも変わらないモン。」
W課長「変えます!変えて見せます!俺の部下は自分で守ります!」
・・・・・・部下?
もはや現場は酔っ払い達の応酬に次ぐ応酬。
ベロンベロンの中年男達の地獄の園である。
紹興酒のまわりまくったTさんは、据わった目でW課長とK部長のやりとりを見据えている。
Tさんと目が合った。
Tさんはふしぎな踊りを踊った!
浪のMPが20下がった!!
・・・す、酔拳?
本当にTさんは私の目をガン見したまま、椅子に座った状態で上半身のみの不思議な踊りをおどりだし、リアクションに困った私はHさんに助けを求めた。
が、Hさんは椅子に座ってスースーと気持ちよさそうな寝息をたて、既に戦線を離脱していた。起きて!
W課長とK部長は相変わらず言い合いを続け、感極まったのかW課長が涙声になっている。
鼻をすする音も聞こえてきた。
いよいよ居心地が悪い。
私はこちらをガン見しながら踊りつづけるTさんから目が逸らせず、震える手でクールブースト8mmを取り出し火をつけ、メンソールボールを潰して煙を吸った。
中国の民族舞踊なのか、日本の盆踊りなのか、はたまた酔拳なのか、優雅に舞って(?)いたTさんの体が弧を描いて机の下に消えていった。
瞬間。
ガターン!!!!!!
という音を立ててTさんが椅子ごと床に倒れ込んだ。
それが終戦の合図だった。
まるでコントのような【落ち】である。
K部長「Tさんダイジョウブー?ノーガードでアタマから落ちていったけどダイジョウブー?もう今日はお開きにしよっカー」
部長の言葉をもって、本会戦は終結した。
あれだけ意見の応酬をしていた面々。
次の日の朝、さぞかし気まずい思いをするのではないかとヒヤヒヤしてたが、皆前日の記憶がないという(※私とK部長以外)
皆本当に記憶がないのか、無いふりを決め込んでいるのか、真相は闇の中であるが、それを言えば許される所もあるから、お酒という飲み物は太古の昔から、人々に支持され続けているのではなかろうか。
あのような、少し居心地の悪くなってしまうような場面では、できれば私も酔っていたい。
そして次の日には全てを忘れ(たフリをし)ていたい。
「酒に感謝せねばならんな。酒が罪を着てくれるお陰で、人間が救われる」
by ウルリッヒ・ケスラー
出張初日の夜の出来事のお話でした。
そこで、今回は仕事にまつわるお酒エピソードのお話なぞをしようと思います。
少し前のお話(実話)です
--------------
昨今日本のモノづくりの拠点は、大半が国内から中国へと移っている。
私の勤める会社も、小さなメーカーながら中国に工場を持っており、設計担当者が現地に出張することもしばしばである。
その時はちょうど私の設計担当製品の部品が金型屋で成形されており、仕上がり状況の確認と今後の修正のために上海へ出向く事になっていた。
到着した当日は必ず現地社員の人達が歓待の宴を開いてくれるのだけど、私は出張前日に大学時代の恩師と飲みに行った際、寿司屋で食中りを起こし、体が全くアルコールを受け付けなくなってしまっていた。
私の出張している地域では、基本的に油分の多い食事が大半で、飲み物といえば、ビールを数杯飲んだ後、紹興酒にシフトするのが常である。
こちらの女性はお酒も飲まず、タバコも吸わないという人が大半で、私のような飲んで吸って吸って吸って飲んで飲んでな女性はまずいない。
(きっと中国人社員の皆様からは不良中年に見えているに違いあるまい)
ちなみに紹興酒は会社からの持ち込み品である。日本でやると明らかに怒られる事が当然のようにまかり通っている事が、この国では多々ある。
この宴席で私がタイトルのように切実に思った理由は下記の通りである。以下長文
主な登場人物紹介ーーーー
W課長(私の直属の上司。話題の中心に自分がいないと気がすまない、ちょっと困ったさんな40代日本人男性。この中で一番古株。)
K部長(中国の工場長。日本と中国を行き来するバイタリティあふれる、ちょっぴり権力欲過多な50代中国人男性。)
Tさん(中国工場勤務。仕事に実直でアルコール大好きな30代後半日本人男性。)
Hさん(中国工場勤務。まじめで争いを好まない、人当たりの良い30第後半代日本人男性。)
社長(本社勤務。K部長と犬猿の仲の70代日本人男性。話題にのみ登場)
--------------
お酒が入ると人は解放的になる。
特に、まじめな仕事人間程普段溜め込んでいるあれやこれやが出るわけで・・・。
K部長が持ち込んだ大量の紹興酒が程よく減ってきた頃、最初に口火を切ったのはTさんだった。
どうやら、先日本社の社長がこちらに出張に来た際、
『ここの工場は段取りが悪くて成形品もいつまでも汚いとW課長が言っていた。もっとちゃんと仕事をしろ』
というような事をかなり長いことネチネチとTさんに言って帰ったらしく
「どのあたりが段取りが悪いのでしょうか?」
とW課長に質問を投げかけた。
Tさんはとても几帳面に仕事をこなす人なので、W課長が言ったとされる社長の言葉に我慢がならなかったのだろう。
口調はそれでも穏やかに、食ってかかった。
それに対するW課長の反論
「俺が悪いのか?」
・・・課長、Tさんが言ってるのは
「どのあたりの段取りが悪いのか」
を具体的に聞いているのであって、課長の人格性格どうこうは聞いていないと思います。
しかし、W課長は基本人との会話があまり得意ではない。というか質問に対して的を得た回答が返ってきたためしがない。
そして自分は愚痴っぽいのに人の愚痴が全く聞けない困ったさんである。
仕事の愚痴や、困った事、その他諸々に対して返ってくる言葉といえば
『俺が悪いのか?』『俺悪者?』『俺に言うな』
と、必ず『俺』をつけて返してくる『オレオレ上司』なのである。
そして実際W課長に非がある場合でも
「もー!!俺が一番悪者でいいよ!」
と言う割りに自分が悪いとは全く思っていない。(悪い人ではない。困ったさんなのだ)
今回もその例の多分に漏れず、ことごとくTさんの発言を
「ちがう!お前間違ってる!」(←聞く限りにおいて何も間違ってない)
と途中で遮り倒していき、ますますTさんのフラストレーションは溜まっていくばかり。
私はと言えば、そんなやりとりを素面で聞いていなければならず、苦痛なことこの上ない。
本来ならば、同じペースでアルコールを流し込み、W課長とTさんは放っておいて、陽気な気分で他の人と談笑したり、煙をふかしている所であろうが、お寿司達に破壊された胃と肝臓はどうしても酒類と油モノを受け入れてくれず、 キュウリの酢漬けとお茶でやり過ごす宴会の乱・・・。
Hさんは黙々と紹興酒を飲みながら、W課長とTさんのやりあいを律儀に見守っている。
どんどん増殖していく紹興酒の空瓶。この時、午後7時半・・。
お酒の勢いも手伝って、自分がいかに役員と役員の間の板ばさみになっていて大変な思いをしているかと饒舌に語りだすW課長。
そこでTさんが
「それを言うならK部長の身の削り方の方がすごいですよ。何で会社のためにそこまでできるのか、本当に尊敬しますもん。」
と横槍を入れると、K部長も会話に加わり戦況はさらなる混戦へ・・・・。
W課長「俺の方がよっぽど板ばさみになってるわ!」
Tさん「いや、K部長のは本当に半端ないですわ。」
K部長「ダッテー、そうするしかしゃーないやん」
(↑部下にたたえらえて嬉しいのが顔に出ている)
W課長「俺なんか、身を削りすぎて3分の1無いわ!」
K部長「私なんか、半分ナイヨ」
W課長「じゃあ俺は3分の2減ってるよ!」
もはや子供の言い合いである。
大半の殿方は (※私の経験による個人的見解にすぎませんが)
【自分が誰よりも苦労をしていて、誰よりも大変な思いをしていて、誰よりも仕事をがんばっている】
と思っている。
そしてそれを他者にもわかってもらいたい生き物で
『大変ですね。』『がんばってますね。』『すごいですね』
と言ってもらいたいという欲求がこの上なく大きい。
40代中間管理職に顕著に見られる傾向である。 (←※私の経験による個人的見解にすぎませんが。大事な事なので2回言います)
仕事であるから、時には上記のようなリップサービスもするが、酔っ払いは得てしてソレを何回も要求してくる。
めんどくさい、若干もう帰りたい・・・・・
そう思って再びHさんを見ると、やはり黙々と紹興酒を飲みながら、W課長とTさんとK部長のやりあいを律儀に見守っている。
お酒が入っても真面目な方だ。
宴も終焉に近づき、やっと帰れると思ったその時、喧嘩ではないけれど言葉の応酬が続いていた、というより 横やりを入れられまくってフラストレーションの溜まっていたであろうTさんがおもむろに
「2軒目行きましょう!!」
と言い出した。
えええええ・・・・・もう帰ろうよ。素面でこの言い合いを聞き続けるの、正直つらいよ・・・・。
ていうか、日本に帰っていいですか?
この時、
若干話を聞きつかれたのでもう帰りたい→私、Hさん
飲みたい喋りたい危険地帯→W課長、Tさん
ドッチデモイイヨー→K部長
結果、終結を迎えるかに思えた戦闘は和議協定が成立せず、さらなる激戦へと変化して行った。
外では飲まず、工場の食堂で飲みなおそうという話になり、他のメンバーが帰宅したあと
W課長、K部長、Tさん、Hさん、私の5人で食堂へ。
K部長が慣れた手つきで肴を作り、さらなる紹興酒(どっから出てくるんだ)を追加し、第二ラウンド開始。
なみなみと注がれる紹興酒。これで一人頭4~5本は開けている事になる。
私はと言えば、相変わらず飲めるわけでもなく、【統一武夷山烏龍茶】と書かれた烏龍茶を冷蔵庫から出した。
本当は塩炭酸ジュースがよかったがまだ出回っていないらしい。
烏龍茶の程よい甘みが心地よい。
こっちのお茶は何でどれもこれもほんのり甘いのだろうか。
そして議題は個人の内容から会社レベルの話へ。
ここでもTさんが議論を展開しようとするが、例によってW課長に話の腰を折られまくっている。
あまりに遮るものだから、私は少林寺拳法の使い手であるTさんが、いつW課長を蹴り倒してしまわないかと肝の冷える思いで見守っていた。
うちの会社は、中国の工場で基板を作る前に、国内の外注業者に試作基板を作らせて動作確認をするという、何ともまわりくどい事をしている。
国内で作った基板は安全でしっかりしている分コストも高く、使用部品も高価なため、量産はできない。
しかも、国内の外注で作った基盤回路図が中国で使えるかというと、コストが合わないため使えない。
ではなぜそのような無駄な事をするのかというと、そこはいわゆる【大人の事情】があるのであろう。
中国の工場での基板関係の責任を一手に背負うTさんとしては、使えない高コストの国内生産は
【会社として】
辞めるべきだという事を言いたかったようなのだけど、
「俺が悪者なわけ!?」
とW課長節が炸裂。相変わらず会話が成立しません。
私はW課長の直属の部下になって仕事をしだして久しいので
【この人に愚痴は言うまい】という悟りを開いている。
なぜなら、決まって上記のように返され、言えば言うほどストレスが溜まるからだ。
K部長が
「うちの会社の役員達は仕事してるんじゃなくて政治をしている。」
といったことを皮切りに「会社は変わるか」という論争に発展。
W課長「会社は俺が変える!」
K部長「かわらない、絶対かわらないヨー」
W課長「だから俺が変えるって!」
K部長「コッチの工場任されて5年になるケド、なんも変わらないモン。」
W課長「変えます!変えて見せます!俺の部下は自分で守ります!」
・・・・・・部下?
もはや現場は酔っ払い達の応酬に次ぐ応酬。
ベロンベロンの中年男達の地獄の園である。
紹興酒のまわりまくったTさんは、据わった目でW課長とK部長のやりとりを見据えている。
Tさんと目が合った。
Tさんはふしぎな踊りを踊った!
浪のMPが20下がった!!
・・・す、酔拳?
本当にTさんは私の目をガン見したまま、椅子に座った状態で上半身のみの不思議な踊りをおどりだし、リアクションに困った私はHさんに助けを求めた。
が、Hさんは椅子に座ってスースーと気持ちよさそうな寝息をたて、既に戦線を離脱していた。起きて!
W課長とK部長は相変わらず言い合いを続け、感極まったのかW課長が涙声になっている。
鼻をすする音も聞こえてきた。
いよいよ居心地が悪い。
私はこちらをガン見しながら踊りつづけるTさんから目が逸らせず、震える手でクールブースト8mmを取り出し火をつけ、メンソールボールを潰して煙を吸った。
中国の民族舞踊なのか、日本の盆踊りなのか、はたまた酔拳なのか、優雅に舞って(?)いたTさんの体が弧を描いて机の下に消えていった。
瞬間。
ガターン!!!!!!
という音を立ててTさんが椅子ごと床に倒れ込んだ。
それが終戦の合図だった。
まるでコントのような【落ち】である。
K部長「Tさんダイジョウブー?ノーガードでアタマから落ちていったけどダイジョウブー?もう今日はお開きにしよっカー」
部長の言葉をもって、本会戦は終結した。
あれだけ意見の応酬をしていた面々。
次の日の朝、さぞかし気まずい思いをするのではないかとヒヤヒヤしてたが、皆前日の記憶がないという(※私とK部長以外)
皆本当に記憶がないのか、無いふりを決め込んでいるのか、真相は闇の中であるが、それを言えば許される所もあるから、お酒という飲み物は太古の昔から、人々に支持され続けているのではなかろうか。
あのような、少し居心地の悪くなってしまうような場面では、できれば私も酔っていたい。
そして次の日には全てを忘れ(たフリをし)ていたい。
「酒に感謝せねばならんな。酒が罪を着てくれるお陰で、人間が救われる」
by ウルリッヒ・ケスラー
出張初日の夜の出来事のお話でした。










