ぶっ飛び沖縄‼︎

ぶっ飛び沖縄‼︎

突然沖縄に引っ越してきました。
楽しいこと、不思議なこと大好きです。


辺野古に住むナマティ
もとい、フランス人のソフィーは
実は、アップルパイが
大好きらしい。

ゴミ箱に詰まったティッシュの山に
カシミヤタッチのティシュ箱が
たくさん置いてある部屋には
やっぱ、コタツがある。

静留、ソフィー、吉永サファリ
の、1番のお気に入り。
私からの
ザ・ジャパンなプレゼントは
いまだに感謝されているんだな。

素晴らしいセンスだって。
まぁ、沖縄のホームセンターに
コタツが売っているを見た私が
まさかや〜って買ってしまっただけ
なんだけど。
驚いたわ、サクッとサクモトに。

クーラーから鼻風邪を引いて
フランス語の発音が
ますます鼻にかかって
カピバラ寄りになっているソフィー。

まぁ
意味不明でも心意気で
そのまんま読んでみてほしい。
勢いがあればスルー出来る。

私は
リンゴはリンゴのまま
丸かじりする白雪姫タイプ。
もちろん皮は剥かない。
ウサギにカットもしない。

気にしない、気にしない😑
繰り返すわね、白雪姫タイプ😑
アンダスタ〜ン?
さぁ、耳をかっぽじって お聞きなさい!
私に、毒は効かないわよ🧙‍♀️
自分の手持ちの毒で
相殺しちゃうわ👅

さぁ
勢いで読み進めてね。


そう。

ソフィーの大好きなアップルパイは

フランスでは、タルト オー ポム。


基本的に、甘く煮たリンゴを

パイ生地の上にのせて

オーブンで焼いたもの。


同じようなので

リンゴのコンポートを使ったのは

ショソン オー ポムとも言う。

意味は、リンゴのスリッパ。

なんでやねん🍎


よく聞くタルト・タタンとは 

型の中にバターと砂糖で炒めた

( キャラメリゼ ) リンゴを敷き詰めて

パイ生地をのせたもの。


私たちが

ふだんパイと呼んでいるものは

フランスでは

だいたいタルトになる。

で、アップルパイは

もともとオランダ🇳🇱で生まれた。


まぁ。

リンゴを包むか載せるか

の違いなのかなぁと、私は思うのよ。

100年に1回くらいしか

アップルパイは食べないから。


アップルパイに向くリンゴは

固くてシャキシャキしたもの一択で

そうでないと煮崩れてしまうし

オーブンで焼いた時に

ぐずぐずした型が美しくないんだよ。


日本のリンゴの基本は

生食用に作られているから

基本的に調理には向かない。

だから、紅玉が1番アップルパイに合う。

トマトもそう。

トマトソースにするには水分が多すぎて

イタリアのポモドーロ種には

遠く及ばないものよ。


やっぱ

日本人には、白雪姫喰いよ。

それしかないわよ。

毒より農薬に気をつけて。


私は、今は出てないけれど

ジョナゴールドと王林が1番好き。

沖縄には一年中リンゴがたくさん売っていて

オーストラリアからの

小さなリンゴもあるからさ

もうね、食べ放題よ。

7人の小人の分まであるわよ。


ママハハだって

毒を塗るのもひと手間よ🧙‍♀️

腱鞘炎になるかもね。

ふふん、いくら力作の毒リンゴでも

相殺しちゃうわ👅

ツーか皮剥いちゃえばいいじゃん。



アップルパイにまつわる

ソフィーの話があった。


ソフィーが小学生の頃。

フランスは、6歳から11歳まで

エコールという小学校へ行く。

ここんとこは日本と同じ。

でも、フランス🇫🇷は9月から始まるんだよね。


で、来年から中学生になる前の年に

イギリスから転校してきたという

黒い肌の女の子がいた。

物怖じしない真っ直ぐな目線。

白目に浮き上がるような漆黒の瞳は

深い知性をたたえて

長いまつ毛に縁どられ

黒曜石のように輝いていた。


シャルルが正式名なんだけど

フランスではシャルリという呼び方になる。

フランス語もペラペラな本人は

父の故郷のイギリス風に

チャーリーと呼ばれるのが好きで

男性名のシャルルとは、" 自由な人 "

という意味のゲルマン語にまで

さかのぼれると言っていたらしい。


以下、彼女を

リスペクトして

チャーリーと書くね。


スタイル抜群でボーイッシュな

チャーリーには、アフリカの血が

色濃く混ざっているらしく

顔が小さくて手足が真っ直ぐで長いから

まるで人形のように見える。


おまけに指も細くて長くて

チャーリーを良く思っていいない

一部の女子からは

ミガーレというアダナを

つけられていた。


" ミガーレ " とは

蜘蛛のタランチュラのこと。


父親が、アフリカのザンジバルで

大使館に勤めている通訳官で

フランス系アフリカ人の母親も

有名大学の教授だと聞いた。


同級生より、頭ひとつ背が高くて

ちぢれた黒髪のベリーショートは

他の子たちとは

一線を引くほどに目立っている。

成績は、いつもズバ抜けて学年トップ

アスリートとしても才能を発揮。


" タランチュラ " は

誰もが欲しくても手に入らない

容姿と才能を持っていたんだよね。


鈍臭いソフィーからすれば

足が速いだけで憧れの人。

まぁ、ソフィーは生まれつき

股関節に障害があったから

スポーツ全般が出来なかったらしい。


だけど

目の前にいるチャーリーは

10等身くらいのモデルに見える。

彼女を見ているだけで

ソフィーは幸せな気分になっていた。


ある日

チャーリーが、大きなアップルパイを

クラス全員にあげようと持って来た。

今日は、自分の誕生日だけど

両親は忙しくて会いに来れないから

自分で買って来たんだと

チャーリーは笑った。


両親は海外に住み

アジア人のお手伝いさんは

アップルパイなんか作れない

と、断って来たらしいから。


チャーリーの

大好きなアップルパイは

自宅から徒歩5分くらいの

小さな路地を入った古い民家風の作り。

出窓に人形がおいてあり

赤い看板が出ていて

おばあちゃんが1人で

やっている店で買うんだと言う。


カットされたひとつひとつを

紙ナフキンを何枚も重ねて

クラスの皆んなに配る

チャーリーの横顔は

キラキラしているけれど

ソフィーには寂しそうに

見えていたらしい。



フランスでは

イースターをパック( paques ) という。

そのパックを控えた

春分の前日の朝は日曜日。


チャーリーは

突然、姿を消してしまった。


今日、ママンたちが帰って来るから

アップルパイを買いに行ってくる

お手伝いさんにそう言って

自宅のアパルトマンを出たまま

消息を絶った。


警察が足取りを追っても

近所にアップルパイの店なんか無いし

店じまいした店すらなかった

という事に、クラス中が衝撃を受け

泣き出す子が続出した。


あれほど大人びて

目立つ容姿のチャーリーを

誰も見ていない。

目撃者すらいない。


親の犯行、誘拐、人身売買などなど

いろいろな憶測やウワサが

飛びかったけれども

チャーリーの住まいは

ひと目が多かったにも関わらず

手がかりがまったく掴めなかった。


警察の捜査のため

一週間、学校は休みとなり

納得出来ないソフィーは

アップルパイの店を探しに行く。


歩いても歩いても

店らしいものはないから

毎日毎日歩いてみた。

でも、やっぱり店はなかった。


イースターで使った

銀色や赤いモール飾りが

捨てられたように

道に落ちていただけ。


ソフィーは

チャーリーが買ってきたアップルパイが

とっても美味しかった

という味覚だけは

今でも覚えているんだと。


この年のイースターは

若死にした母が作ってくれた

ラム肉の料理が

最後になったというのも。


チャーリーからもらったのは

フランスというより

オランダ風の素朴なアップルパイ。


それはパティシエの作る

シャレたモノではなく

おばあちゃんが作るような

持ち重りのする

実質本位のアップルパイ。


ソフィーが成長するにつれ

何か分かると思っていた。

でも、何ひとつ分からないまま

クラス会で集まる同級生たちも

固く口を閉ざしたまま

いつしか忘れ去られている。


たったひとつ。

チャーリーをあまりよく思っていなかったし

ミガーレというアダナを付けた

昔から小太りの同級生が言った。


大学の休みに入った日に

祖母の自宅があるノルマンディへ行くのに

パリ・サンラザール駅から電車に乗る。

2時間ちょっと乗っている間のこと。


あのミガーレを見かけたの

たぶんそうよ。

見間違えるはずが無いの。

だって、うらやましくて仕方なくて

私、ずっーっと彼女を見ていたんだから。


いなくなった

あの時のままの姿をしていたの。

子どもなんだけど

そうとは思えないような容姿だった。


でもね、つかまえようと

電車の中を探したのにいなかった。

駅から降りた人たちの中にも

ミガーレはいなかった。


学年トップの座を取られ

医者になった秀才の彼女が

忙しい時間をやり繰りして

クラス会に顔を見せたのは

結局は何を言いたかったのか。


羨望と嫉妬と憧憬が

複雑に混ざった表情には

どことなく安心したような

あきらめが見えたらしい。



南城市の

チャーリーレストランが

「 チャーリーのパイ」として

リニューアルしていた。


コストコの近くだから

分かりやすいと思うのよ。


ソフィーへ

今度、コストコに行く時に

チャーリーのパイを買いに行こう

と、言ってみたら

ニコニコしてうなずいていた。


半年間しかいなかった

同級生の思い出と繋がる

アップルパイを買いに行こう。


記憶と味覚は

繋がっていることが多い。


フランスの小説家

マルセル プルーストの

「 失われた時を求めて 」の冒頭に

紅茶に浸したマドレーヌを口にした少年に

鮮やかに昔の記憶が蘇る、という

一節がある。


そのひと口で

3000ページもの大作を書くなんて

味覚とは侮れない。


私たちだって

ゆっくり味わっているうちに

思い出すこともあるかもね。

3ページくらいの

ショートストーリーを。