83,残酷な事実の系譜

 

私の祖母や叔母から父は病気で亡くなったと聞いていたので、初めて聞く話の衝撃が大きすぎ寒気がし鳥肌が立ち、頭の中が真っ白の空白状態でその後の記憶が暫く欠如している。いつも継母からの下らない暴言を吐かれていても私は無表情の無言で聞き流したふりをしてきたが、さすがにこの時の話には驚愕していた。継母は普段から無表情で無口な私が気に入らないのか、よく「何を考えているか分からない子だ!気持ちが悪い!生意気だ!」とブツブツ言っているが、父の自殺の話をすれば驚くだろうと、私の反応を試してみようとでも思ったのか?ところが全く動じない私に畳み掛けるように生母の悪口を言い続けていた。改めて言う話ではないが、私はこの家に来てから継母に優しい言葉や、思いやりのある言葉をかけてもらった事は一度も無い!普段の日常の言葉使いでもピシャリと言葉を投げつけるような言い方しか出来ない人間である、おまけに単語で言葉をぶつけてくるから一方通行で会話にならない。小さかった私が記憶している祖母や叔母達の耳触りの良い優しい声は心地よく、言葉がサラサラと静かに心の中に流れてくるような話し方だ、本当に天と地ほどの違いがある、まさしく生まれ、育ちの大きな差を感じる。この日、この時から父親の自殺の事が頭から離れないし、おまけにその理由が生母だったとは・・・真実は時に残酷な仕打ちをする!!!父の顔さえ覚えていない2歳の時に、生家でそんな重大な出来事が起きていたなんて知る筈が無い。父からはこよなく愛されていたと聞かされ、病気で亡くなったと祖母に聞かされていたので、真実が自殺だったとは胸が押しつぶされそうに痛い。これから一生その事実の重荷を心の奥底に秘めていくのか・・・。あの継父でさえ黙っていることをぬけぬけと恥ずかしくも無く継母の口からこんな話を聞かされるなんて最悪の最悪。

きっとその当時、生家から近いこの家の近所のモノ達は大袈裟な尾ひれも沢山つけ噂話で盛り上がっていたのだろう。