81,馬鹿の一つ覚えのオウム

 

毎日数冊図書館で借りて来た本を自室で勉強をするふりをしてひたすら読み耽(ふけ)り、継母の言う勉強は試験日の2,3日前くらいに仕方なくしていた。それほど私の心を虜にする本の魅力は魔力!と言うべきか!書物の文字の中に全身がすっぽりと溶け込んでいるような一体感がたまらなかった。

誰一人として味方がいない孤独感を癒し、心の拠り所の最高のパートナーだった。自分の贅沢以外お金を使いたくないケチな継母は不思議にも「本を買って上げるから行こう」とよく言うのだ、試しに超高級な「世界文学全集が欲しい」と言った事があるが、すぐに近くの書店で申し込んできたのには本当に驚きだった。どんな本なのかも分からない継母は「勉強に必要」な参考書と勘違いしたようだ。どうも自分の職場で「娘は本が大好きで難しい本ばかり読んでいて、図書館から借りてばかりいるから買って上げている」と言ったら皆から羨ましがられた、と親戚に自慢していた、また見栄か・・だから買ってくれるのだな、と私の心の声。小学生の頃から継母の馬鹿の一つ覚え「勉強したのか?」の単語を365日間休みも関係なく言い続け、中学生になってもまだ毎日私の顔を見ると言っている。許されるなら大声で怒鳴りたい、「うるさい!黙れ!バカの一つ覚えのオウムか!あんたが勉強しろ!!!」と・・・また心の声。