79,私の部屋にナニかいるの?

 

新しい座敷での奇妙なアレは一度きりしか姿を現さなかったが、やはり何か薄気味悪い気配と霧は消えなかった。もう一つ嫌なことは、この座敷は庭を半分潰した所に建てたのだが、その場所には以前継父が殺した猫の死骸が何匹か埋められている、つい想像してしまうから私は寝る時以外にこの座敷には近寄らない。悪夢のような家でも子供は成長していく、中学生になった私の寝床は引っ越しをした。畳が2畳ほどの納戸を改装して明かり取りの大きな窓を作り、シングルベッドと机を置いた。狭くて窮屈だが自分の部屋があるのは心地が良い・・・

しかし又問題が起った。納戸だったこの場所は北側にあり、暗くて湿気も・・・この部屋に来てから、悪夢をよく見てうなされる、体にズシッと重みを感じ全身も動かないし声も出ない(金縛りによく合う)。幻聴、幻覚なのか??寝ている筈なのにこの部屋の大きな窓が突然全開し、風がごうごうと唸り部屋全体が嵐のように荒れる、息も出来ないくらい苦しい私は吹き飛ばされそうになる・・・それは夢か現実か分からないほどリアルなのだ。でも朝になると何事も無かったように平常だ、しかし夜中になるとまた同じことが繰り返しよく起こる、一体この場所はどうなっているのか?もしかして私の気が変になったのか?こんなに怖い思いをしていても私はこの夫婦に一言も告げることはしなかった。

この部屋に来てからテレビも見なくなり、日常生活の中で継父とは殆ど顔を合わせる事が無くなったのが最高に嬉しい。しかし今度は継母が煩わしい存在に・・・いちいち何かにつけて口うるさく私の神経を逆撫でする言葉を発するのだ。思考能力が全く無いのに、思いつきでどうでも良いことをぺらぺらと話すから、イラついて私の髪の毛が逆立ちそうになる。中学生になり成長していく私を見て娘というよりも「女」として見ているようだ、一体何を恐れているのか?