74,故○○子ちゃんの強い意志

 

もう限界!と告げられるまで堕胎していた継母にとって唯一の妊娠、出産までこぎ着けた胎児は十分臨月まで育ち、この世に生まれ出る事を強く待ち望んでいたと思う。何故なら死産だったが髪の毛が黒くフサフサに生えていて顔立ちもしっかりした女の児だったという。そこまで成長していたのに産道で窒息死とは・・・この家での出産が災いしたのか、産婆さんの能力の問題か?

それともこの継母の魂との格闘だったのか。霊界でこの継母を選んで十月十日、一心同体で心臓の鼓動も強く、子宮という神秘な宇宙に宿っていたのに後一歩の残念無念だった。それとも途中で自分から下界を拒否し、大きな愛に育まれている神の元に帰ることを望んだのか?どちらにせよ三日三晩小さな体で必死にこの世に生まれ出たい!という強い意志が感じられる頑張りだったと思う。

この児が無事であれば私の運命も全く違う人生を歩んでいた筈だ。あの時の足元でじっと私を見ていた?アレは自分がこの家で無事に生まれ、この家で育っていく筈だったのに「あなたはだれ?」という嫉妬心の強い思いが「かたち」として現れたのが無垢な姿の白いモノだったと思う。何より「生きたかった!生まれ出たかった!」という強い意志の塊が化けたのかも知れない、ある説に霊体の思念は雲のようなフワッとした形だと言うが、その意志を私に伝えたかったのだなと勝手に私は夢想した。嬰児とは?生時から3歳までの子供のことを言う、

この世で幼くして亡くなった子供は罪や穢れが無いので、真っすぐに神の元に帰り神の愛に注がれている光の天界で成仏していると言われている。

私の疑問は、母体で完全に生育した胎児に「知、情、意」という意志を持つ能力が備わるものなのか?だ。継母の子は胎児から嬰児になる瞬間まで生きていた・・・三日三晩に渡る暗い闇の中での格闘の末、残念な結果となったが何か心中での思いはあったのかな??