この人の境遇は最悪の不幸だった、彼女が10歳くらいの時母親が亡くなり妾がすぐに後妻になった。この後妻が鬼のような劣悪非道な女で長女とこの人にこれ以上無い!酷い仕打ちをしたと言っていた。継母は尋常高等小学校を卒業した次の日から住み込みでお金持ちの家に奉公に出された、まだ12歳である。姉も3年前から奉公に出されていて一年分の給料は先払いで後妻が受け取り、姉と自分は1円も貰えなかった。15歳になるまで奉公して、その後継父と同じ会社に女工として就職したが給料は全部取り上げられた。会社にはお弁当持参だが後妻はおかず無しの白飯に梅干しだけの弁当を持たせ、歯が痛いと言えばわざと固いスルメの足を1本足して嫌がらせする、友達が来るとわざとほうきでゴミやほこりをその友達に向けて掃く、まるでお笑いのギャグネタのような話だが笑えない。毎日の食事もひどいもので無い時もあり何時も空腹、辛いという言葉は全部飲み込み腹に蓄え、それを栄養にして出来上がったモノは「いつか呪い殺してやる!」という復讐に燃えたぎった鬼夜叉の念の塊になっていた。