⑳誘拐

祖母と叔母は私をこの家の跡取りとして恥ずかしく無いようにと、躾や教育をしっかりとしながら深い愛情一杯に育ててくれた。何もかも失ってしまった今では「私」という孫であり姪である存在が財産であり最後の生きがいなのだ。洋服はおしゃれな手作り、食事も素材を生かした味付けで、栄養バランスを考えて作ってくれ毎日が楽しい食事時間だった。祖母や叔母は裕福な時代を生きて来たので特に食べ物に関しては一流だ。4歳からは地元でも有名な幼稚園に首にバスの定期券をかけて一人でバス通園していた。6歳になりそろそろバレエを習わせようと叔母が申し込んだ矢先、私は産みの母に誘拐された、それも突然予告無しで。