④生母

日本全土のラジオから静かに流れる「玉音放送」を聞いた時、産みの母は17歳であった。母の生家も資産家で代々から続く大地主の豪農で10人近くいる兄弟の末娘、長男とは親子ほど年が違うので、産まれた時からひたすら可愛がられ叱られたことが無かったという。末っ子なので家事全般は姉たちの任務、皿一枚いえ台所にはただの一度も立ったことが無い!という、超我が儘のおてんば娘がそのまま大人になってしまったような女性だ。一体母はどのような経緯で父と結婚したのか?兄が言っていたが、「金持ちはお金が減るのが嫌だから金持ちと婚姻関係を結ぶものだ!」と、では家柄だけで決めて人柄は無関係なのか?まさかこの結婚が夫を地獄の火車に乗せる嫁だったとは誰も想像すらしなかっただろう。