青年 | ウッドデスク

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日々の出来事のログ

著 森鷗外


自分に好意を寄せてくれてた未亡人がいて、ある日別の男と親しげにしている所に遭遇して嫉妬心を覚えるお話。

その気持ちを主人公はこう表現している。

俺が箱根を去ったからと云って、あの奥さんは小遣いを入れたガマ口を落とした程にも思ってはいまい。そこでその奥さんに対して、俺は不平がる権利がありそうにはない。一体俺の不平はなんだ。あの奥さんを失う悲しみから出た不平ではない。自己を愛する心が傷つけられた不平に過ぎない。

その好意はただの好意でしかなかったという事に気づく主人公の寂しさ。

その後主人公は箱根を去り、未亡人から借りていた本を会うことなく郵送で送り返し、その寂しい気持ちを持って本分の書生業に精を出すだろう。そうしないと自己の心が更に傷つくから。その感情を忘れるように。