布団に入ろうとした愛流に、ダァの声が降ってきた。

「ねぇ」

立ち上がってダァの視線を合わせる。

顔を見て話さないと不安になってしまうから。

「まだ俺と付き合いたいと思ってる?」

「んー・・・そりゃね。でも付き合えないならそれはそれでww 彼女という立場にこだわってない」

「うん・・・・」

少し視線を落としてダァは黙った。

その間の時間はごく僅か。

「俺と付き合ったら絶対後悔するんだって」

「しないよ」

「俺についてこれるやつなんていないし」

「ついてくもん」

「そんなこと言ってられるの今のうちだけだからー」

「そんなことない。絶対後悔しない」

後悔する、しないって話でどっちも譲らない。

だって譲れるわけがなかったから。


「付き合おうか」

たぶん、愛流は一瞬びっくりした顔をした。

「うん!」

照れたように笑いあって眠らなくちゃいけないことを思い出す。

「おいで」

ベッドに呼ぶダァの声に導かれて愛流は腕の中に潜り込んだ。

「好きだよ」

その声がいつまでも耳に残っていた。

感じる温もりが心地よかった。


君と僕の新しい関係。

曖昧な関係は終止符を打った。

奏でるのは新しいメロディ。

いつまでもいつまでも奏でよう 愛の詩を。

電波に乗って君の想いが届く

僕は何もできない

だけどその想いにもたれる

その想いに甘える

誰かに想われるという幸せ


「やっぱ好き。二股でもいーから付き合って」

「それは、できない」

ダァのことは好きだった。

そこから逃げ出したいという気持ちはあった。

だけど、捨てられるわけもない。


春との電話もメールも楽しくて、嬉しくて。

想われているということを感じられた。

でも、純粋な春にしてはいけないと思った。


「アドレス、愛流の名前入れたい。でも、入れたら彼女って言いたくなる」

春はアドレスに想いを込めるタイプ。

愛流はそんなことしたことも、考えたこともなかった。

何度も繰り返される春の言葉。

少しずつカタチを変えて。だけど想いは変わらずに。


「ねぇ、アドレス・・・変える?」


一瞬びっくりしたような間。

次の瞬間の嬉しそうな声。

「まじで?いぃの?それって・・・・」

最初はものすごく軽い気持ち。

何度も繰り返されるなら、付き合ってしまえばいい。

満足させておけばいい。


愛流は言っていた。

「片方が知ってるなら、二股でもいーや。両方に隠すのはめんどい」

でも行動に移すとは思っていなかった。

相手がそれを望むなんて考えていなかったから。


今でも忘れることができない

君の声、君の言葉

幸せそうに笑う君。

その笑顔を壊してしまった 僕の罪

他愛のない内容

その中に織り込まれた本音

様子を探って 本音を隠して

相手の反応次第

いつでも行動に移せる

もう スタンバイは整った


『今日、振られたんだ』

春が送ってきたメールに愛流の心は確実に揺れた

『愛流が彼女なってあげる♪』
『まぢで!?なってなって。』
『声だけねwww』
冗談混じりの会話。どこまで本気だったんだろう?


『声が聞きたい』
何度も繰り返されたフレーズ。

だけどね、愛流は決めていた。

-自分から番号は聞かない-

春の考えを知っていたからこそ、愛流には聞くことができなかった。

『電話しない?』

春が言ってくれたとき、本当は嬉しかったんだ。


春との初めての電話は9時間も続いた。

その中で春は何度も同じ言葉を繰り返した。

「俺はまだ愛流に話してないことあるから。言ったらきっと嫌いになるよ」

そのたびに愛流も同じ言葉を繰り返した。

「嫌いにならないから言ってみ?w」

どの話も愛流にとっては受け入れられるものだった。

「それだけ?」

聞き返す愛流に春は少し驚く。


年下の春にとって愛流はどんな風に映ったんだろう。

だけど、春は愛流を褒めてくれた。讃えてくれた。

「ねぇ・・・・好きになっていい?」

「なれば?」

愛流は知っていた。その台詞の意味を。

「もう、好きです」

予想していた台詞は思ったよりも早く春の口から零れた。


「彼氏がいるの知ってる。どうにもならないことも知ってる。

だけど、好きだから。こうして話せるだけで満足」

その言葉が別のものに変わるのに、そう時間はかからなかった。


愛しいという想いがあったのは確実。

だけどそれは恋愛感情とは異なるもの。

それを知っていたから何も云えなくなった。

その想いを受け入れることは罪だと思っていた。

学祭当日は雨。

北海道、10月末、雨。

寒くないわけがない。

なかなか来ないダァと友達。

遅くなったら来ないかもしれない・・・・


ちまちまと連絡を取りながらダァを待つ。

模擬店をかけもちしていた愛流は大忙し。

カフェの交代時間で用意された衣装に着替えて店まで行ったとき・・・

ダァは現れた。

雨に濡れたダァの顔がまともに見れなかった。

しばらくたって寒がるダァに鍵を渡して部屋で待つように告げた。


バスタオルの場所を教えてあったかくするように言う。

早く、早く。片づけをしながら気持ちは落ち着かない。

急ぎ足で家路につく。

部屋に戻った瞬間言われたのは・・・

「腹減った」

なんだか気が抜けてしまって、ダァが家にいることが不思議で。


ダァと友達、そして愛流の3人でピザを食べてTVを見る。

しばらくすると友達は帰っていった。

2人で過ごす部屋はなんだかいつもと違った。

不思議な距離を保ちつつ少しの会話と優しい時間。

翌日も模擬店のために早起きをしなければいけない愛流。

ダァにベッドを譲って床に布団を敷く。


そのまま眠ろうとして布団に潜り込む。

同じ空間にいても触れることのない2人。

それはごく当たり前のこと。

2人は「友達」なのだから。


側にいるだけでドキドキした。

横顔を見ては目が離せなくなった。

君が発する言葉に過剰に反応した。

平然を装っても悔しいくらい心は支配されていた。

知り合ったときから愛流の学祭に来ると約束してくれていた。

だけど、ダァとの関係が微妙で本当に来るのかはわからなかった。

学祭の1週間くらい前。

『エクステとっていぃ?』

『好きにしたら?』

『ダメって言ってなかった?』

『残念だけど・・・別に』

『学祭終わったらとるわ』

何を言っているのかわからなかった。

愛流が何言ったって関係ないじゃない。

でも、嬉しくて嬉しくて。ダァは愛流の言葉を気にしてくれる。

それだけで嬉しかった。


#☆.。.:*・゚♭☆.。.:*・゚#☆.。.:*・゚♭☆.。.:*・゚#☆

ダァから着信があったのはそのすぐ後だった。

「なしたぁ?」

「学祭さ、2日あるじゃん。帰るのめんどいから泊めて。話したいこともたくさんあるし」

「ぁ・・・ぅん。いーけど」

「じゃ、バンドの練習あるんだわ」

愛流は彼女じゃない。

でも、ダァは愛流の家に来る。

その日の夜大掃除をしていた。


内緒にしていたのに、翌朝には友達も知っていた。

楽しみで、でも不安で。

付き合っていないけど関係を持ってしまったから。

きっと愛流は拒めない。

同じことを繰り返すのかな。

違うのは愛流に彼氏という存在がいないこと。

大丈夫、愛流の部屋には布団がもう一組ある。

愛流のベッドはハイベッド。

問題は何もない。

「話したいこと」 それが何を示すのか。

そんなことは予想できていた。


君という存在。

君を部屋に迎えること。

どうしようもないくらいに緊張した。

どうしようもないくらいに待ち遠しかった。

それで君との関係が変わってしまっても

それでも後悔はなかった。

君は覚えていないかもしれない、出逢ったときのことなんて。

「友達の仲良しさん」その程度でしかなかった君の存在。

今ではかけがいのないその存在。

魅かれたのはいつからだろう。


何気なく教えてくれたメッセのアドレス。

使うことなんてないんだろうなぁって思いながら喜ぶ「フリ」をした。

みんなでわいわい話すだけ。2人で話すなんてありえなかった。

君が持った印象は悪くて、ただ声だけに魅かれてくれた。

この声が春と愛流を繋いでくれた。


愛流をいい女だって云ってくれた。

春と話せない日々が続いて、偶然春を見かけて。

何を思ったか実家に帰ろうとしてる日だった。

普通ならありえないこと。

愛流は自分からメアドを教えた。


「送らなくてもいーから」なんて云いながらずっと待ってたんだ。

それから毎日メールをした。

あれが2人を結びつけたんだ。

あの頃からお互いに魅かれていた。

静かに静かに。

きっかけはそう、2人の間にあったすべて。


この声じゃなければ

あのタイミングじゃなければ

愛流が愛流じゃなければ

春が春でなければ

きっかけはすべて流れてしまっていた

僕らはすべてを確実に導いていた

1月6日早朝

大切な存在を失った。

いなくなったわけじゃない。

ただ、今までとは違う存在になっただけ。


たくさんの想いが溢れて

いろんな想いを零して

大丈夫 と思えたのは、相手が君だから。

綴ろう僕らの音を。

君が教えてくれたメロディを聴きながら。

付き合っていないけれど毎日のメールは続いた。

甘い言葉も溢れていた。このままでも幸せだろうと思っていた。

それまでと同じように飲み会は続いていた。

ただ、愛流はダァに踏み込む事を拒んでいた。

これ以上好きになってはいけない。警報が鳴り響いていた・・・・


ダァがタバコに火をつけた日。愛流の中で何かが崩れた。

見なかったことにしたかった。

だから・・・

『ダァが吸い終わったら教えて。吸ってる姿を見たくない』

愛流はけして強くなかったから・・・・逃げた。

その現実を見ないように、と目を背けた。

事実は変わらないのに。


階段で犬と戯れているとダァが来た。

「何してんのー」

「・・・・・・」

「なんで睨むのさ」

「睨んでないもん・・・・」

ダァがトイレに行くのを見て部屋に戻る。

友達に甘える、甘える、甘える。

「だって見たくなかったんだもん・・・認めたくなかった」

「でも、それもダァなんだから。ちゃんと認めなきゃ」

「・・・・聞こえてるんだけど」


何もかも崩れていくような感覚。

その感覚に愛流の感情は麻痺していたのかもしれない。

帰り際、朝日が昇った中ダァが外に見送りに出た。

犬と戯れる友達の後ろから2人でゆっくり歩き出す。

「ねぇ、ちゅうは?」

いつもなら言うはずのないセリフ。

「できるわけないじゃん・・・」

「じゃぁ、愛流からしてもいぃ!?」

そのセリフの後、愛流の唇とダァの唇は重なった。

優しく腕をまわしてくれたダァが愛しかった。

「・・・もっかいww」

短く重ねた唇がいつまでもその感覚を守っていた。


車の中でも頭の中で繰り返す。

メールをして、ダァをもっともっと感じようとする。

酔った脳が理性を曇らせた。

ただただ求めていた。ダァの温もりを。


少し冷たい風と 暖かな君の身体

少し背伸びをして君に近付こうとした僕

言いたくて でも 言いたくない

僕だけの小さな思い出

夜景を見て帰って、少しぼーっとしてたら電話が来た。

ダァの友達。夜景を見た帰りの運転の荒さが彼の気持ちを表しているのはわかっていた。

でも、すがったりしない。それが愛流の生き方だった。だからあっさり引き下がるフリをしたんだ。


「ダァと話したけど・・・あいつ、言葉足りないからさ」

「うん・・・で?」

「別に愛流と付き合いたくないとかじゃなくて、不安らしいんだ」

それまでの期間で2人とは恋愛について語り合っていた。

2人の関係、元カノの話・・・これからの恋愛について。

「真剣に付き合いたいから。今までみたいな軽いのはやだから。愛流を傷つけるのは嫌らしい」

「・・・・傷つかない恋愛なんてないだろーww」

「だから、少し時間欲しいって言ってた。考えたいって」

「そっか・・・うん、わかった。わざわざありがとー」


いくつもの想いが交錯して、その夜は眠れなかった。

早まったかな?とか、本当にいろいろ考えた。ずるいことも・・・

1日がものすごく長かった。

だけど、まだこのときは知らなかった。自分が何をしたのか。


君のそばにいられるなら カタチなんてどうでも良かった

ただそばにいたかった 本当にそれだけだった

君の思考に入り込めるなら それだけで満足だった

過去のお話はちょこっとお休みしてww

今日は幸せなことがあったので、そのことを。

んー・・・日記に書きたいこととかぶっちゃうなぁ。


今日はライヴだったわけなんですが。

ダァと一緒に見ました。

逢ってすぐに、指を目の前に出して「見てvvv」

ジャケ写のロゴを書いてたんですけどね。

細かいの!!

「自分で書いた(*´ェ`*)ポッ」

「嘘だぁ」

そう言いながら指をじーって見るの。掴んでw

なんか、それだけで幸せだったんですけどvvv


でも、もっと幸せだったのがライヴ終了後!!

階段がねぇ。。下りなんだけど。怖くて。

そしたら、手を繋いでくれたんですよ!!

ダァから手を繋ぐとかなかなかないからめちゃくちゃ幸せでww

別れ際には「帰ったらメールするわ」って言ってくれて、ちゃんと来ました。

しかも、バイバイって手を振ってくれたし!!

本当はちゅうしたかったw 友達いなかったらしてくれたと思うんだけどなぁ。。。ちくしょう。


今日は滅茶苦茶幸せですw

ライヴレポは・・・ここには必要ないかなww


I'm so Happy /Janne Da Arc

 君を抱き寄せて 夢の続きを見よう

 つないだ手がやけにうれしくて