はじめましての方もお顔なじみの方もこんばんは、すあま商會店主です。
すあま商會は板橋区大山にあります保護猫シェルター併設カフェですが、店主がずぼらすぎてSNSやHPの更新もままならないのに、突如としてブログをはじめるという自殺行為に走ってしまいました。なので、毎日更新したいところですが、不定期になりそうですし、へたすると1日坊主で終わるかもしれません。
そんな不吉な予告をしておいてなんですが、ブログをはじめようと思ったのは、すあま商會所属猫たちのことを、SNSやHPよりもより詳しくお伝えできればいいなと思ったからです。猫たちのことをより深く知って頂き、より親身になって頂き、「私、この子の家族になる!」と思って下さる方が出現するのを期待しているのです。
猫たちの紹介をメインにしていきますが、どうでもいいことやすあま商會のおいしいグルメもちょくちょく挟んでいくかもしれません。ご容赦下さい。
というわけで、本題です。
今回は「みーちゃん」について聞いて頂きたいのです。
みーちゃんは大きなお目目のキジ白の5歳になる男の子です。
ひとり暮らしの高齢男性が飼っていました。
その男性が倒れて入院。退院したとしても、もう猫をお世話できる状態には戻れないということで、男性の知人がすあま商會に引き取ってもらえないかと、相談にきました。
その男性は、数年前まで家族と一緒に住んでいましたが、離縁によりひとり暮らしになり、寂しさから、猫を飼いたいと思うようになったそうです。元妻は猫が嫌いだったので、ひとりになってようやく猫と暮らせると思ったのでしょう。保護団体の譲渡会に行ったのか、シェルターに行ったのかよくわかりませんが、ともかく、どこかの保護団体から子猫を譲渡してもらったそうです。
年齢を逆算すると、その時点で、その男性は70歳を越えていたと思います。どういった条件で、保護団体から猫を、まして子猫を譲渡してもらえたのか、よくわかりません。猫には興味のない息子さんがいらっしゃって(息子さんも50過ぎ)、その方が飼うということにして、譲り受けたのではないかと、知人の方は言っていました。
実際にはその男性はひとり暮らしで、高齢であるため、無職で、年金暮らしでした。
話を聞いていて、譲渡した保護団体さんは、お宅訪問をされない団体さんなのかな、定期報告も受けていない団体さんなのではないかな、とふと思いましたが、どこの団体さんかもわかりませんし、息子さんとうまく話を合せてとりあえず譲渡してもらえるようにしたのかも、よくわかりません。全て憶測です。
ともあれ、その男性は倒れてしまいました。
困った周囲の人たちが、譲渡した団体さんを探しましたが、わからなかったようです。その男性が暮らしていたのはすあま商會のある東京の隣県ですが、知人の自宅に比較的近いということで、すあま商會を探し当て、相談に来られました。
いや、うち別に、保護します!どんどん相談してください、とかどこにもうたっていないんですけどね。なぜか連日相談がくるのが不思議……。里親希望者さんより保護依頼の方が倍以上多いのが不思議……。
訪ねていらした知人の方は、高齢の独居男性が入院されてから、ひとりぼっちになってしまった猫のお世話をしにその男性のお宅に数日に1回、訪れていたそう。猫は好きではないし、どう対処していいかわからないから、とりあえずごはんだけあげているみたいでした。
トイレ掃除はしていなかったようです。
折しも、暑くなりはじめていた時期だったため、エアコンはつけてあげていますか、と聞いたところ、
「エアコン?エアコンなんかつけるんですか?」
と返されました。
「そりゃつけますよ。冬の寒さは布団などに入ってしのげますが、夏の暑さはどうにもなりません。まして、閉じ込められたマンションの密室では、大変なことになりますよ。お水はどうしているんですか?」
「お水は、3度に1回くらい入れています」
「何日おきに行っているんですか?」
「3日に1回くらいですかね」
「あの、それじゃかわいそすぎます。もしご自分が、暑い季節に密室に閉じ込められて、お水もなくなってお皿がからからで、ごはんも食べ尽くして、誰も来なくて、いつごはんがもらえるのか、いつ誰がくるのかわからなくて放置されていたら、どんな気分になりますか?」
「はぁ……」
ダメだ、これ以上言ってもダメだ。
すあま商會は常に満員御礼、預かりさんもいっぱいいっぱい。保護依頼がきても、地域でお世話してくれる方がいるなら、そちらにお願いしてはどうかとか、他のもっと人手がたくさんあって、財力もある団体に頼んではどうかといってお断りすることが非常に多いです。かわいそうだからと何でもなんでも引き受けていたら、今保護してすあまにいる猫たちも、不幸にしてしまうかもしれないからです。
誰か他に周りで飼ってくれる人がいるなら、とか、なんとか嫌いでも工夫して飼えないのか、といったことをその知人に提案してはみましたが、全くその気はないようだし、私がこれ以上責めたり、断ったりすると、猫ちゃんは捨てられてしまう可能性がある、と思いました。自分の猫でもないのに、なんでこんな思いをしなくちゃいけないんだ、面倒くさい、うんざりだ、と思われたとしても無理もない話です。
もうこれ以上引き受けられないとは思っていたけど、その猫ちゃんが暗い部屋で誰かがくるのをじっと待っている、乾いたお皿の前でじっと待っている、と想像すると、揚句に捨てられてしまう、と想像すると、いたたまれなくなりました。
ご無理を言って、1軒の預かりさんを確保。その知人の方に、早急に猫ちゃんを連れてきてくれるようお願いしました。
「ところで、その猫ちゃんは女の子?男の子?」
「女の子だと思います」
「名前は?」
「たしか、みーだった気がします」
というやりとりがあって、2日後、猫ちゃんがすあま商會にやってきました。
が、どう見ても、
男の子、雄、男、男子、ついてるし。そして、短いぼんぼりしっぽをぶるぶるっと振るわせて、にゃーにゃーいいながら、スプレーしてくれちゃいました。
いや、てきとーだなぁ・・・・・・・・
「去勢してないんですか?」
「そういうことはしてないと思います」
「5年間、おうちの中にいたんですよね?おうちの中でスプレー行為しまくりだったんじゃないですか?」
「わかりません」
まあ、この知人の方は猫について詳しくないし、知らなくて当然だろう。ただ、臭かっただろうなぁ、おうちの中……。
そういったやりとりがあって、今はすあま商會の保護猫部屋はいっぱいだから、誰かが卒業して空きが出たら、預かりさん宅からうちに迎えますので、会いにいらして下さいね、とは伝えました。が、全然そんな気はないらしくて、せいせいしたという顔で帰っていかれました。その後、みーちゃんはどうしているか、といった問い合わせはありません。私からも連絡してみましたが、返信は途絶えています。
かくして、みーちゃんは預かりさん宅で暮らすことになりました。
が、たぶんだけど、みーちゃん、5歳になるまで飼い猫なのに去勢していなかった雄のみーちゃん、たぶん、トイレも使ったことがないのかもしれない。そんな様子が見受けられました。いったい、どんな飼い方をしていたんだろう。
でも、可愛がられていたことは確か。みーちゃんはとっても愛想がよくて、人間大好きで、ずっとおじいちゃんとふたりきりだったせいか、他の猫には関心がなくて、とにかく人間。人間がいれば安心。とっても甘えん坊です。ちょっとビビりなところもあるけど、人間さえいれば大丈夫な子なのです。
預かりさんは、トイレを使ったことがなさそうなみーちゃんのことも、根気強く向き合ってくれて、文句もいわず、とても大事にしてくれました。預かりさん宅に行くと、いつも、みーちゃんを抱っこして出てきてくれました。
とりあえず、この預かりさん宅でならみーちゃんも当面は幸せだ、と思っていたのですが、その預かりさんが、急遽、引っ越しをすることになってしまいました。諸事情から、新居では預かりができないことになってしまい、みーちゃんをすあまに戻さなければならなくなってしまいました。
うちも空きがあればいいのですが、今、全然空きがない&他の預かりさんもいっぱいいっぱい。ちょうど、子猫を預けていた先が空いたのでお願いしてみたけれど、おとなの雄猫はダメらしく(号泣)。
みーちゃん、今、行く場所がない状態。今月29日に今の預かりさんが引っ越しされるので、それまでに引き取らなければならないけれど、すあま商會猫部屋の超過状態プラス、のんちゃん&らいむというでっかい雄が幅を利かせていて他の猫たちが戦々恐々としている中、新たに雄を入れるのがちょっと怖い……。
なんか、みーちゃんが気の毒で仕方がないのです。みーちゃんのこれまでのにゃん生では、いい加減な人たちしか関わってこなかった。譲渡した人も、欲しいと言った人も、欲しい人に便宜を図った人も、飼い主さんが倒れてから関わった人も……。そして今、すあま商會も、みーちゃんをどこに連れていくべきかで、悩んでいる。この、悩んでいる状態が、みーちゃんに申し訳なく思えて仕方ありません。ごめん、みーちゃん。どんとこい、とすあま商會猫部屋にすぐに入れてあげられない自分が情けない。
のんちゃん、らいむよ、新たな雄がきたらどうなっちゃうの……猫部屋の女子たちが血便だらけになったり、お兄ちゃんが免疫低下してあちこち悪くなったり、ふたりが怖くてトイレで排泄できなくなってしまった子がいたりで……。そんな中で、新たにおとなの雄を入れる勇気が私にはない……。みーちゃん、どうしようか。泣けるねみーちゃん。
とにかくあと数日でなんとかしないといけないみーちゃんのお話でした。
長くなってすみません。文字数ないとこれだからいかんね。
はじめてすあま商會にきた時のみーちゃん。緊張してトイレに逃げ込んでいた。