【藤井聡太二冠の将棋から】

 少し前の印象では、時間の使い方としての間の取り方、盤上での駒の間のとり方、これほど美的な間を作りながら、その時には感じさせないセンスの良さを感じていました。
 今回の谷川九段との対戦では、もはや尋常ではない、そこは、にらみ合いからどうやって突破するのかさっぱりわからない状況なのに、自分の手から形作る間を予見して、さらに相手の手による間をつぶしていくときは、容赦なく。
どれが敗着なのか、終わってみても、ようやくあれかなあ、というくらいの失敗とも思わせないような手を打たせている。そう、相手に打たせていること、その手を選ばせていることが、自分の考えた最善の手なのに、打たされているような、ハメられているような、妙な塩梅を感じた。相手がいるのに、すでに一人芝居のような錯覚さえ感じてしまいます。
 子どもの頃の一人で、二人分やっていたような気になってくる。
 そういえば、詰将棋の連続優勝をしているとか。最善の手を打ちながらも、勝つのは決まっているような、流れをこれからも相手の棋士は感じることでしょう。
 まだまだ進化成長する藤井聡太二冠、楽しみです。