8月26日に「素人寄席」の掲題でご案内しましたが、その関連で雑談を少々。


何を演ろうかと思案した結果、初めての席なので演り慣れている「牛ほめ」にしました。この噺は私が22歳の時、最初に覚えた噺であります。私は落研(落語研究部)に入っていた訳ではないのですが、親しくさせて頂いていた先輩が落研だったので、その先輩からテープを借り、教わりました。


母校の落研にはその当時、桂文朝という師匠が顧問として指導に来られており、この「牛ほめ」は落研発表会の際、顧問出演した時のものです。ここで桂文朝師匠を紹介させて下さい。


1952年 7月 - 2代目桂小南 (当時は山遊亭金太郎 )に入門。前座名は山遊亭タア坊

1955年 - 山遊亭金時 に改名。

1959年 1月 - 二ツ目昇進。桂小西(前年に師匠は小南を襲名した為改名)に改名。

1970年 4月 - 真打昇進。2代目桂文朝を襲名。

2005年 - のため死去。享年63。


タア坊として10歳で入門したというのは有名ですが、現代ではありえない、信じがたい伝説のような話。桂小南(勿論故人)に師事したので、もし文朝師存命ならば我らが落語教室の講師の一人、現、山遊亭金太郎師匠の兄さんということになります。


2003年4月、柳家小さん追悼興行で「笠碁」を新宿末広亭で見たのが最後でした。もし存命ならば、先日のブログで述べた「落語四天王」同様、懸命にチケット入手に走る噺家であったに違いないと思うと残念でなりません。


さて、この「牛ほめ」、初心者が学ぶには最適なポピュラーな前座噺の一つだからと推薦してもらったのですが、その後昨年落語教室に入るまで約36年間、寄席でもそれ以外の場所でも一度も聞いたことがなかった。


ところが落語教室の初級では、初級受講者へのお薦め(3噺)に入っていたので、これをやる人が

沢山いて、今度は飽きるほど聞くことになってしまった。なんかものすごい反動。


私は大学時代に独学でもう一つ「千早振る」を覚えたが、その後は社会人となり、根多は増やせなかった。でも人前では、クラスメートとか会社の宴会などで「牛ほめ」を演る機会があり、それなりに受けもよかった。


約20年ぶりにやるこの噺、若い時の記憶力は大したもので2~3回さらって(=練習して)、舞台へ。やってみると結構気持ちよくなって、牛の褒め方を教えるくだりを飛ばしてしまった。またやっちゃった。あーあ。