舞台『怪獣は襲ってくれない』【要約版】 | su(澄野一樹/sumikaz)のブログ

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主に上野樹里さんやBABYMETAL、さくら学院について。基本的にネタバレ。記憶違いがあるかも。(suというHNは2006年春から使っています)

※※ 後にアメンバー限定公開(事実上の非公開)とする場合があります ※※

 

舞台『怪獣は襲ってくれない』を観てきた。

 

前エントリではストーリーを細かく書いているのでアメンバー限定公開(実質的な非公開)とした。このエントリではストーリーの記述を大幅に削除して感想をメインに書いていく。

舞台を観ていない人にも感動を伝えたい。しかし、ストーリーをあまり細かく書くのはまずい。

そう思いながら、書いてみた。

 

私が観たのは初日公演と3日目の夜公演の2回。

お目当ては、もちろん新谷ゆづみさんだ。

 

 

 

 

初日にロビーに入ると、招木が掲出されていた。自分でも写真を撮ったが、せっかくなので初日公演後に投稿されたこちらを張る。

 

事前発注の招木の他に購入したグッズは、コピー台本(ポケットファイルに入れた)、ブロマイドセットA・B、サイン入りブロマイド×2。

さらにS席に付いてきたパンフレット(2回観たので2部ある)。フライヤーももらってきた。

 

入場

初日は開演15分ぐらい前に入場したのだが、SNSで「早く入った方が良い」とのことだったので、3日目は開場5分後(開演40分前)ごろに入場した。開演前なら撮影可とのことだったので、撮影した写真がこちら。

舞台上には3つのモニターがある。上手のモニターの表示は白飛びしているが、「歌舞伎町一番街」と表示されている(下記)。

場内アナウンスでは、開演前なら撮影可、ただしキャストが舞台にいるときは不可、と言われていた。

そう、開演前にキャストが舞台に登場するのだ。着席して待っていると、一人舞台に出てきて、その後奥に引っ込んでいった。その後の写真がこちら。

中央にかけられている衣装が減っている。役者が奥から出てきて、衣装を手に取って、また奥に引っ込んでいったのだ。多分、葉月ひまりさんだと思うが、確証はない。

しかしまだ、舞台上には衣装が残っている。もう一人出てくるのだ。その後の写真がこちら。

残っていた衣装もなくなっている。

二人目に出てきたのは、主演・新谷ゆづみさんだった。まず上着を手にすると、舞台の前に進んできた。そして上着を自分の体に当てて、前を見ている。鏡に映った自分の姿を確認している(という芝居をしている)のだ。そしてさらに、スカートも持ってきて、同様に体に当てて鏡で確認する。そして両方の衣装を持って、奥に引っ込んでいった。嬉しい演出だ。なお、このとき着ていたのは白い服で、スウェットかジャージだろうと思う。

 

開演

開演時間になると、新宿警察署からのお知らせがアナウンスされる。といっても、それを模した観劇上の注意だ。ただし、「客席内では客引き禁止」という内容(もちろんネタ)もあった。

 

会場中に役者が出てくることも、新宿警察署のお知らせも、コピー台本に載っている。

 

この先は本編となるが、時系列が複雑になっている。ここでは時系列を整理するためにまとめてみる。

なお私は本格的な舞台を生で観るのは初めてで『秋桜学園合唱部』も生では観ていない(DVDは持っている)。せいぜい『時をかける新谷』と『森先生殺人事件』を生で観ただけだ。だから見当外れな内容もあるだろうが、ご容赦を。

 

プロローグ

畑中が講演。

(写真はナタリーより。以下、特記なければ同じ。これは講演する畑中)

 

虎之助が乱入、さらに他のホストと客も加わる。

(ホストと客)

ここで3200万という数字が3日目に出てきた。

(初日は1600万だったと記憶しているし、台本も1600万となっている)

 

ホストと客が去り、畑中が講演を続ける。

(ホストと客は、講演に乱入したわけではなく、資料映像のように捉えればいいのだろう)

 

ここまでは物語の背景説明なので、時系列上の位置付けを細かく考える必要はないだろう。

 

新宿・歌舞伎町

2021年5月25日

虎之助がこの日にあったことを話している。

(虎之助。日付はディスプレイに表示される)

(こっこはなぜ、フードをかぶっていたのか。なぜテンションが低かったのか)

 

にいとぽんも話をする。

(にいとぽん)

「行動を起こしたやつらは尊敬している」と話す。

 

2021年5月11日

にゃんぎまりと夢露(めろ)が「飛んだ」あと、暗転。

光が上からゆっくり降りてくる。奈落の下にこっこがいて、その光を手に取る。

(初日は、前の観客の影になって、こっこが見えなかった。見えていないことにも気付かなかった)

こっこ「(略)だから、あの子もマネしたんだと思う」

 

(ここまでで、2021年5月11日と、25日の事件が明らかにされている)

 

第一幕

2021年3月11日 高知県・いの町

(写真は作品公式X(Twitter)より、こっこ)

(写真の体勢で左右に体をゆっくり揺らしていることが、現実に絶望しているこっこの心情を表している)

(こっこに暴力を振るっているパパは下手にいて、こっこは上手で語っている。つらさから逃れるために、こっこが心を殺して、あるいは「幽体離脱」しているように思える)

 

2ヶ月経ってた。

DMが届く。

 

(「2ヶ月経ってた」から5月11日かというと、そうではない。その後の流れから、「5月になってた」の意味で、DMが届いたのは5月1日だと考えた方がよさそうだ。この点、少し混乱した。意図的かも?)

 

2021年5月1日

にゃんぎまりと夢露(めろ)が登場し、3人で踊る。

(左からこっこ、夢露、にゃんぎまり)

(このときのこっこが、実にかわいい。なお、3人で踊っているが、こっこがこの二人と出会うのはまだ先であり、このダンスは高知からトー横への場面転換ということだろう)

ダンスが終わり、3人はピタリと止まる。

(止まっている夢露がかわいい)

 

第二幕

中年の塩田が上手上段(店内)でキャバ嬢相手にくだを巻いている。

(塩田とキャバ嬢)

 

ピタリと止まっていたこっこ、夢露、にゃんぎまりが動き出す。

こっこ「DMはない。でも来ちまった。お金はない」

 

にいとぽんが畑中に話しかけられるが、逃げてしまう。

 

夢露が、こっこの手を取って街を連れ回す。

にいとぽんと夢露の肩がぶつかる。

(にいとぽんは、予言者か?)

 

夢露が、にゃんぎまりが好きだとこっこに打ち明ける。

にゃんぎまりは風邪薬でパキる。

夢露「おめーも、あとでやる?」

こっこ「あたし、風邪ひいてないよ」

それを聞いた夢露が笑い転げる。こっこは、ここに来てよかった、と思う。

 

第三幕

夜。

夢露は漢字が読めず、ことごとく、こっこに訂正される。

夢露「おれを殺してくれ」

夢露(こっこのスマホを見て)「これだれ?」

こっこ「虎之助」

 

ゼウス登場。

こっこと夢露にサンドイッチをくれる。

こっこには「かわいいね」を連発。

ゼウスはにいとぽんを探している。やべえもんを持っているらしい。

(雨が降ってきたようだ)

ゼウスが去る。

 

こっこ「なんで、あたしに話しかけてくれたの?」

夢露「にゃんぎまりもさ、おれに話しかけてくれたんだ」

 

回想。雨。傘を持ったにゃんぎまりが現れる。にゃんぎまりと夢露の馴れ初め。

夢露、にゃんぎまりの傘に入り、去り際に

夢露「ねえ、こっこ、明日もいるでしょ?」

(このセリフは、後に繰り返される)

 

こっこ、取り残される。塩田が現れ、こっこの周りでまくし立てる。

こっこは塩田の話を聞いていない。マイクスタンドを左右に傾けながら語る。

(マイクスタンドを左右に揺らす様子が、こっこのもうろうとした意識を表している)

(実家での様子にも重なる)

塩田がこっこに手を差し出す。こっこはその手を取り、上手を歩き出す。

にゃんぎまりとにいとぽんが下手で話している。

こっこと塩田が去る。

 

第四幕

2021年5月6日

(時系列が5月1日の夜から飛んでいることに注意)

にゃんぎまりと虎之助が登場。

虎之助がにゃんぎまりをスマホで撮影している。ちょいちょいウケてる。

リスカシーンでは赤いライトで照らされ、手首からビーズが飛び散る。

(血が飛ぶ演出だろうが、ビーズがその後も舞台上にあるので、踏んで転ばないか気になった)

にゃんぎまり「あ、そうだ。すごいもん持ってんのウチ」

そう言って銃を取り出す。

(にゃんぎまりが「あたし捕まる?」と言っていたのは、これが理由か?)

にゃんぎまり、去る。

 

2021年5月2日

(時系列が戻っていることに注意。こっこと塩田が去った後の時点、日付が変わったばかり)

虎之助のもとに夢露がやってくる。別空間にゼウスが登場し、にいとぽんを見つける。

以降、二組の会話が同時進行する。

舞台では二組の会話が交互に行われる。

(舞台を観ているときには、二組の会話を頭の中で分離する必要がある。観ているときには頭が回りきらないので、あとになって気付く。そういうふうに作ってある)

 

虎之助と夢露

(虎之助は仲介・斡旋をしている、ということだろう)

 

ゼウスとにいとぽん

(ゼウスは手を替え品を替えて、にいとぽんを連れだそうとしている)

(かなりうさんくさい。にいとぽんもそれを感じているが、金に釣られてしまう)

(ゼウスの正体が明らかに。かなりヤバいやつ)

 

第五幕

2021年5月2日

(日付は前のシーンと同じ。前のシーンは夜半で、このシーンは朝だろう)

ホテルの外。塩田が仕事の電話をしながら、こっこに1万5千円を渡し、去る。

 

こっこ「やってみると、なんでもない」

こっこ「あたしは、お金を稼いだんだ」

(こっこは、ここで生きていける、そう思ったのだろう)

 

にゃんぎまりが上手上段に登場。

こっこは、にゃんぎまりが虎之助と知り合いと知って興奮、大好きだとにゃんぎまりに話す。

にゃんぎまりに「ガキンチョ!」と言われてしまう。

(未成年はお店に入れない、ということだろう。にゃんぎまりも未成年なのだが、こっこは成人と言うには無理がある、ということだろうか)

こっこ、にゃんぎまりにお金を渡す。なんとなく。

(見とれるようなものを見せてもらったお礼、だろうか)

にゃんぎまりは、こっこに風邪薬の瓶を渡す。

にゃんぎまり「取引成立……デジャブった。昨日もこんなこと?」

 (デジャブは注目点、このシーンは5月2日の朝であることを再度確認)

こっこ「にいとぽんと話してた?」

(こっこと塩田がホテルに向かうとき、つまり5月1日深夜に、にゃんぎまりとにいとぽんが話していた)

にゃんぎまりが去る。

 

こっこ、風邪薬でパキる。

ことりとヤミ姫が登場。ふたりに誘われ、いっしょに歩き出すこっこ。

軽薄な繋がりが心地よかった。この街は否定しない。

 

畑中の回想。畑中とゼウスが話している。

(観ているときには、回想とは分からなかった。横からオレンジ色のライトが当たっていたような記憶があるので、前日以前の夕方という演出だろうか)

ゼウスが活動内容を話し、畑中のやり方ではダメだと言う。

(このシーンだけ観ると、二人ともキッズを心配している大人で、方法が違う、というように見える。そしてゼウスのやり方が上手くいっているように思える。しかし、ゼウスの正体は既に見たとおりだ)

 

ゼウスが去り、畑中が残る。時間軸が5月2日に戻る。

(回想と分からなかったので、当然この戻るところも分からなかった。おそらく照明が元に戻ったのだろう)

 

こっこ、ことり、ヤミ姫が笑いながら歩いている。

畑中が話しかけるが3人はウザがる。こっこが畑中を追い払う。

畑中がそそくさと立ち去っていく。

(セリフは「あなたたちみたいな子」だったと思うが、台本では「みんなみたいな子」となっている)

(腹が立った。それは本当だろう。でも、それだけだろうか。ことりが泣いたのは腹が立ったからなのか。そうではない気がする。畑中のところへ行けば、住むところと食事は当面は提供されるだろう。体を売らなくて済むだろう。親と違って暴力を振るわれることもないだろう。しかし、あんな風に接してくる人のところへ行くのはいやだ、ということだろう。もっと、「分かってくれる人」であれば、保護して欲しいのではないか。何しろ、まだ14~15歳の子供たちだ。だから、保護しようとしている畑中でさえも、なぜ分かってくれないのか、それが悲しくて、悔しくて、泣いたのではないか。もちろん、話さなければ分からない。でも、まだ子供なのだ。反抗期かも知れない。だから、分かってよ、分からないなら放っておいてよ、という気持なのかもしれない)

 

字幕。

2021年5月2日の早朝、事件発生、犯人は逃走中、被害者はゼウス

(前のシーンは朝だったが、報道は早朝に戻っていることに注意。未明かもしれない。畑中の回想より前に事件は起きている。したがって、あのシーンが回想でないとしたら、矛盾する。回想と分からないと、混乱する。この後のシーンは事件の報道より後なので、早朝というほど早くないと思われる)

 

にいとぽんがにゃんぎまりに銃を渡す。

(先のシーン、5月6日ににゃんぎまりが虎之助に見せた銃は、このときの銃)

にいとぽんは、俺分かったよ行動しなきゃだめ、と言っている。

(冒頭の事情聴取で「行動を起こしたやつらは尊敬している」と言っていた、にいとぽん。彼はその前に「行動」を起こしていたわけだ。ところで、あの事情聴取は、事件の容疑者あるいは参考人としての事情聴取なのか?)

にいとぽんは、1万5千円をにゃんぎまりから受け取る。

にゃんぎまり「うんー、じゃあね、取引、成立じゃ……」

(これが先のシーンのデジャブ。また先のシーンと「1万5千円」が共通だが、時系列からして、ここでにゃんぎまりが渡したのは、こっこからもらった金ではない。こっこからもらうのは、時系列的にはこれより後(未来)の時点。ここも混乱しやすいが、意図的か?)

にいとぽんが電話をかける。久しぶりに会いたいと。そして去って行く。

(電話の相手は誰だろうか。親に「覚えてる?」とは言わないだろうから、旧友だろうか。年齢(15歳未満っぽい)から元カノとは考えにくい気もするが、そうでもないか。状況からすると、事件は早朝だが、このシーンはそれほど早い時間ではない。新幹線は動いているか、間もなく動く頃。そして久しぶりに電話をかけても迷惑でない時間。冒頭のにいとぽんの事情聴取は、後追いの後なので、このシーンより3週間以上先。彼が地元に戻ったあとなのだろう。ただし帰る前に東京で捕まった可能性もある)

 

こっこが現れる。

(台本ではフラフラがおさまっていく、とある)

何かを見つけたようで叫び声を上げ……

 

こっこ「こういうタイミングっていつも、顔面のコンディションが最悪」

 

第六幕

こっこの元へ、夢露と虎之助が現れる。

こっこが虎之助を推してることを聞いて、虎之助が喜び、遊ぼうと誘う。

夢露は用事があると言って去る。

(夢露の様子から、虎之助が仲介・斡旋をしてはいても、それに悪い感情は持っていないようだ。むしろ、夢露は相手に満足しているのかもしれない)

こっこは推しに会えて興奮状態。(これがかわいい)

虎之助は、いっしょに遊ぶにはお金が必要と言う。

こっこが今はお金がないと言うと、またDMをくれと言って虎之助が去る。

 

最初は成り行きで体を売ったこっこだったが、今度は自分から売ろうという気持に。

 

第七幕

2021年5月7日

(時系列が飛んでいるのに注意。にゃんぎまりが虎之助に銃を見せた翌日)

ホテルの一室にいるにゃんぎまりと塩田。

にゃんぎまりが塩田の足を撃つ。

にゃんぎまり、去る。

 

2021年5月8日

(前のシーンの翌日。未明)

雨。夢露がホテルの外で傘を差してにゃんぎまりを待ってる。

にゃんぎまりが現れる。

 

二人で付き合おうと話す。

そして何やら耳打ちする。

(一緒に死のう、と言ったのだろうか)

 

こっこが現れる。あのおじを探している。他のおじは恐い。虎之助と遊びたい、貢ぎたい。

(心が死んでいるにゃんぎまりと夢露。推しが好きで生き生きしていて、体を売りたがっている、こっこ。この対比。善悪でなく。しかし、こっこ、それでいいのか? とも思ってしまう)

 

3人が去り、虎之助が出てきてハイテンションで踊る。

(にゃんぎまり、夢露、こっこの様子に関わりなくトー横では日常が過ぎていく、ということか)

 

第八幕

2021年5月10日 22時34分

(前のシーンから2日経過)

虎之助が決めポーズをして去る。

 

塩田が片足を引きずりながら現れる。

(ここの台本上での表現に、少し不安を覚える。内部資料にとどまっていればいいのだろうが)

塩田の電話の相手は年老いた母親だ。

(こっこのパパを連想する)

(にゃんぎまりに偉そうなことを言っていた塩田だが、親が金持ちなだけで、自分の稼ぎはたいしたことないようだ)

(塩田は、怪我やズボン(穴があいて血が付いているはず)をどうしたのか。1日半ほど経っているから、なんとかしたのだろうし、怪我も(銃で撃たれたにしては)たいしたことないのだろう。鑑賞上は、そこは気にしない、ということなのだろうが)

 

塩田が電話を切り、こっこが現れる。

こっこが積極的に(体を)売り込む。

こっこと塩田が手を繋いで歩き始める。

にゃんぎまりと夢露、手を繋いで歩いている。

 

こっこと塩田がホテルへ。塩田が先に部屋に向かう。

後からエレベーターに乗ったこっこだったが、途中階でにゃんぎまりと夢露が乗ってくる。

目的の階に着き、こっこが先にエレベーターを降りる。

こっこ「明日もいるでしょ? トー横」

(このセリフは、前半で夢露がこっこに言ったセリフと同じ)

(前半では最初の一時的な別れだったが、ここでは最後の永遠の別れ)

夢露「ごめん! おれら――」

言い終わらないうちにドアが閉まる。

 

下手上段(ホテルの部屋)に塩田がいる。

こっこは、後ろ手に銃を隠しながら部屋へ。

 

上手上段(ホテルの屋上)ににゃんぎまりと夢露。

夜景を見ている。

(ビルの上に怪獣が見えている想定。もちろんゴジラのことだ)

にゃんぎまりが、あの怪獣が暴れ出して何もかもぶっ壊してくれる妄想をよくしてた、と話す。

(その続きが遺書になってる)

二人は手を繋いで飛び降りる。

 

字幕で飛び降り自殺のニュース。14歳の中学生と17歳の女性とみられる。

(夢露の性別に触れていないことに注目)

女性のものとみられるバッグの中に遺書のようなメモ。

 

幼い手書き文字の映像。

かいじゅうは おそって くれない

(タイトルの伏線回収。怪獣が街を襲って、何もかもぶっ壊してほしいけど、怪獣は襲ってくれない)

 

上空から光がゆっくり落ちてくる。

 

第九章(最終章)

2021年6月5日

こっこが舞台に一人だけ。

誰かに向かって話をしている。

(誰かがそこにいるという想定だが、舞台には他に誰もいない)

最初は比較的穏やかに話していたが、あるきっかけでヒートアップしていく。

あたしはどうしたらいいんですか、と。

(どうしようもないでしょう、と)

 

こっこは舞台中央に座り込んでいる。

他の俳優が出てきて、カーテンコールをしている。

しかし、こっこはこっこでいることをやめない。

こっこ「なに勝手に終わらせようとしてるの?」

(上記のセリフは台本にはないが、このような内容を言ってたと思う)

他の俳優は、こっこを舞台裏へ連れて行こうとする。

こっこは抵抗する。

 

客席へ言葉を投げかけるこっこ。

(さっきまで架空の人物に向けられていた言葉が、今は観客に向けられている)

(舞台と客席の間にあった「見えないガラスの壁」が崩れ去る)

(舞台側だけにあった空気が、客席側へとなだれ込む)

(「そういう空気じゃないけど!?」というセリフもあったが、これは台本にはなかった)

「生きてるもん」

(冒頭の後追いしたのはこっこかとも思ったが、ここの日付からしても、こっこではない)

「楽しいもん」

(後追いを虎之助に警告するこっこのテンションが低いのは、虎之助への気持が冷めたからではない?)

(冷めたとしても、実家にいるときに比べれば、楽しいのかも)

(「暗闇の中で見つけた光はまぶしい。希望であり、出て行く理由」の「まぶしい」なのか)

「私のせいじゃないよね?」

(うん、こっこのせいじゃないよね。とはいえ……)

「いいよ、あたし痛いの大好きだから」

(自傷。やけっぱち。開き直り。そんな言葉が頭に浮かぶ)

「幸せ? ねえ、幸せ?」

(シンプルだが力強い問いかけ。言葉もない)

 

こっこ、連れて行かれる。

 

終演

 

最後の最後まで、こっこはこっこのままでいるので驚いた。

初日は、アフタートークがなかったので、戸惑い圧倒された気分のまま会場を出た。

観劇後にしては異様な空気だった。

 

 

本当に迫真の演技だった。

ラストでは「ああ、演技・演出だな」などと高をくくる余裕はなかった。

ただただ驚き、戸惑った。

終演後は、これは演技・演出ってことでいいのかな、いいんだよね……そんな気分だった。

 

この舞台を観ることが出来てよかった。初演を観ることが出来てよかった。

 

女優・新谷ゆづみ。やっぱりすごい。思っていた以上にすごい。