男という生き物は本当にバカで単純な生き物だ。
よく女性が、男心は分からない、なんてことを言う。

簡単だ。
ただのスケベだ。
そしてただのええカッコしいで、意地っ張りだ。

ま、モテ男子や、ヤリちんさんたちの話は別にして、
今回は童貞(および童貞風)男子について語る。

たとえば、
ちょっと女性から優しくされただけで、
あるいは気があるようなセリフを言われただけで、
またはボディタッチが何回かあっただけで、
僕等は、そりゃもうすぐに大好きになってしまったりする。

そういえば、ひと昔前に流行ったあの芸人のギャグ
惚れてまうやろ~
まさにその通り。

タチが悪いのは、
それが、ただの優しさに対してだけではなく、
明らかに分かるような、営業的優しさや義務的親切にまで
否応なしに反応してしまっうところだ。

たとえば、ショップ店員さんの素敵な笑顔。
会社の同僚や後輩の気づかいや、愛想笑い。

そんなものですら、僕等にとっては甘い恋の罠なのだ。

今回は、
ある童貞が、女性の何気ない言葉にコロっとやられてしまったという典型的な話だ。


第1話でも触れたが、昨日、会社の歓送迎会があった。

異動していく者を送り、異動してくる者を迎える。
ちなみに
今年の新人さんは22歳の大学ストレート就職の社会人1年生二人。
今風の、特にチャラついてもいないけど、
まじめすぎなくもない、爽やかさや元気もそんなにない、今風のゆとり男子と。
まじめで素直そうな、今風すぎない女子。

で、僕はビールと焼酎(どちらも苦手)をたらふく飲んで、
二次会では頭バカになってたから、
異動していくNさん相手に恋話をしきりにしようとしていた。
プライベートどうなんすか?恋してるんすか?
完全なるセクハラだ。
セクシーなハラだ。
KARAだ。KARAのハラはかわいい。

ま、それはいいとして本題。

僕の会社では、仕事に必要な資格を取得するため、
入社(異動)2年目の社員は、合宿研修に行くことになる。
そこで何回かに分けながら、1か月程度の合宿をするのだが、
これが社会人になって、学生気分が味わえるということで
なかなか楽しみなイベントになっている。

今年は僕も対象になっていて、
実は会社で気になっている女性も異動2年目なので、
一緒に参加するんじゃないかってひそかに期待していた。

しかし、
なんと間が悪いことに、僕は仕事の関係で上司から研修なしとの命が下った。

がびーーーーーーーん

ぶっちゃけ、その女性(Sさん)とはあまり絡んだことないので
これを機に絡みたいと思っていた僕は、ショックだった。

で、酒の勢いを借りて、Sさんに話しかける。
いやー、実はSさんと研修行くの楽しみにしていたのになー
とかブチまけてやろうかと思った。

すると、なんと先にSさんの方から、
「こぶたさんと研修に行くのが楽しみだったのに、つまんないっすね。」
と話しかけてきたではないか!?

・・・・・
多分社交辞令だとは思う。

しかし、その時酔っていた僕のイカれた脳内では
彼女の言葉はこう変換されていた。

「私、実はこぶたさんのこと、ずっと気になっていたから、
研修でいっぱい絡めるんじゃないかって期待していたのにな。
こぶたさんが来ないんじゃ、研修つまんない。
こぶたさん、大好き。」


あああああああああああ・・・・・・・
惚れてまうやろ~

ここでSさんについて少し解説。
Sさんは20代後半の女性。
僕と同じタイミングで今の部署に異動。
女性としては比較的長身(160半ば)で、スラっとした体型。
化粧っ気はなく、いつも眠そうにしている。
ボーイッシュというよりは、女性っぽさが感じられない。


でもどこか気になる。
彼女のどこがいいのか聞かれても、
分かんないとしか言えないし、説明できないのだが、
なぜか気になっている。

「好き」か聞かれても分からないとしか言えないのだが
でも気になっている。

ぶっちゃけ、彼女とキスとか手をつないだりとかHしたりとか
全然イメージできないし、考えたこともないけど
かなり気になる。

その感情が僕にはいまだ理解できないでいる。

で、彼女といろいろ話をしてみた。
ま、その時点で僕の頭はかなりバカになっているので、
話した内容はよく覚えていない。
二つ覚えているのは、
彼女はジャパロックが好き。
年下の男性は恋愛対象ではない。

ジャパロックは僕も好きだ。
音楽が好きだからね。
でも彼女の好きはかなりコアで、僕の知らないバンド名も出てきた。
特に好きなのはアジカン。
ライブとかフェスとかにも行ったりしているらしい。

え、誰と行ったりしてるの?カレシ?
ぶっちゃけ、実際Sさん、彼氏いないの?

だんだん彼女への興味がわいてくる。

ま、結局それ以上何かあったわけでもなく、
アドレス交換をした訳でもなく、
そのまま解散。

彼女は3次会に行ったらしいけど、
俺は一人でバーへ。





ああ、
安西先生。俺、恋がしたいです。




                                                続く