ある男が一人暮しをするため家賃の安いアパートを探していた時の話。

とにかく安いということを条件に不動産屋を探しまくった結果、
とある一軒家を紹介された。

古い昔ながらの長屋風の家屋が連なる、
何時代?と聞きたくなるような一角にある、オンボロな一軒家。

でも中を見てみると、
木造ながらもしっかりした作りで、内装次第では住みやすいかなって感じ。

一応、不動産屋のおじさんに曰く付き物件か尋ねてみた。

おじさん曰く、

そうだね。
前にも君みたいな若者が何人か住んだことあったけど、
古い家だけあって、一階の廊下がギシギシうるさいって苦情があったね。
最近の若者は神経が細いのかねぇ。
まぁ、古い分だけそれなりの家賃だから我慢してくれ。

とのこと、まぁ音くらい別にいいや。床さえ抜けなけりゃね。

そして男はその家に引っ越した。

確かに一階の廊下がギシギシと不安な音を立てる。
こりゃ下手するとマヂで床抜けるな。

男はできるだけ一階の廊下を通らないようにした。

一週間後、男は不動産屋を訪れ、あの賃貸契約を解約したいと言う。
おじさんは男に尋ねた。

なぜこんなに早く解約するんだい?
何か気に入らないとこがあるのかね。

男はやつれた顔で答えた。

一階の廊下がギシギシうるさくて眠れやしない。