【九朔手帖】
オペラ公演も終わり、本当ならゴロッと横になっていたいところだが、本番の垢落とし&息抜きで、翌日映画に行く。
今日は、さいたま新都心での鑑賞。@MOVIXさいたま
ノープランで予備知識も無く、何となく時間が合ったので入った此の映画、個人的に観るべき点と感じる点が色々多々あり、私個人的には大ヒット、心に響いた。
「父と僕の終わらない歌」
此の映画、ハートフルで、ハートウォーミングで、何とも心身共に笑顔にしてくれる映画だ。
イヤァー~~いきなり横須賀の町が、全開で現れる。
それも、ノリノリの寺尾聡の歌声♪Smileスマイル♪に乗せてかい~~。
この曲は、大好きなナットキングコールだ。
その他も出て来るワ、出て来るワ、スタンダード名曲が寺尾さんの歌で!
ルビーの指輪は歌わないが、全編寺尾聰ワールドの曲で彩られ幸せ気分。
♪「SMILE」
♫「WAHAT NOW MY LOVE」
♪「LOVE ME TENDER」
♫「BEYOND THE SEA 」
♪「VOLARE」
そして
♬「THAT’S LIFE」(この曲は、昔のカセットに、本人が歌唱したものが残っていた、と言う設定で)
<MusicPlaylist・購入パンフレットからお借りしてます>
<本当にこんな感じでCD出しませんかね?>
間宮哲太という役どころを借りながら、映画の中でまるで歌手・寺尾聡のこれまでの集大成のライブステージを見せられている様に、本当に自由に楽しく歌っている!
もう、これだけで、こちらも幸せになれた!
我が家の息子が、今回初めて昨日、私の登場するステージを観に来てくれたが、どんな思いで見ていた事やら、、、。
彼が未だ小さかった頃、例えば運動会等のイベント事で私が挨拶をすると、帰って来ては“話が長い!誰も父ちゃんの話なんかどうだっていいんだから、もっと短く!”とか、ダメ出しを食らったのを思い出す(笑)
寺尾聡さんの間宮哲太(これが何とも能天気で能転気な父)が、スター然と結婚式でノリノリで唄うシーンで、息子雄太役の松坂桃李くんの“マッタクウうちのオヤジは、何時もながらしょうがないんだから!もう”と言う感じの呆れながらの雰囲気が、我が家に似ている様で、困った様な嬉しい様なで、フフフ。
まあ、どうやら、うちの息子は、どちらかというと男性より女性の方が、好きそうだが。
20代や30代そこそこの人は、大抵「寺尾聡」と言う名は知らないらしい。
映画通なら別だろうが。
日本レコード大賞を、「ルビーの指輪」と言う曲で受賞している、何とも華々しい経歴の持ち主。(パンフによると松坂慶子さんは、1952年7月20日生まれで、その誕生石は、ルビーですと)
そして、日本アカデミー最優秀主演男優賞も受賞。
それも、二回も。
いや、主演男優賞を数回受賞する方は他にもいらっしゃるでしょうが、日本レコード大賞も受賞している人は、他にはいないはず。
凄い二刀流~~!
(因みに、松坂桃李君も、日本アカデミー最優秀主演男優賞を、若くして受賞している。)
(そして、松坂でも慶子ママの方も、日本アカデミー最優秀主演女優賞を、受賞している。何と3回も)
その顔に刻まれた皺が、これが又、イイ!
それも丸い顔だから、可愛らしいんだ。
私の様にコケている顔では、皺が痛々しい~ヨ。
こういう方を見ていると、老ける事、老いる事って、何だか可愛らしく素敵に思えて来る。
そんな事も、寺尾さんは感じさせてくれた、有難う。
さて、アルツハイマー型認知症。
認知症の親がいて、既に雄太の様な思いを味わい、その親を送った事を経験している身としては、悲喜こもごも、色々なシーンで凄くシンクロ出来た。
アルツハイマーって、絶望の様に捉えず、年取ればなるんだ!位のスタンスでいないとダメ。
当人は勿論の事、此方側が、やられちゃう、まいっちゃう。
実際は、当事者にとっては、本当にそんなノンビリしたことも言ってはいられないのだが、、、。
でもネ、向き合い過ぎるとやって行けなくなる。
そんな哲太の姿が、今度は親でなく「明日の自分の姿」と置き換えられる日が、近々来るやもしれない。
哲太さん、これから進行が進むのだろうが、大好きな歌を歌う時だけ、いつものお父さんが戻って来る、そんな主人公を重くなく明るく演じてくれる寺尾さん。
雄太の幼馴染・志賀聡美の役で、佐藤 栞里も出ていた。
この子が浦和実業の卒業生って事は、何かで聞いた事があった様な気もするが、改めて注目したら、何と私が今住んでいる町、上尾の子らしい、実家が。
浦和と上尾って、何だか急に、近しさ親しみが湧いてきた。
そんな子も出ているし、あさイチでよく顔を見る副島敦も、その新婚のご主人役で出ている。
それから、横須賀の事。
よくゾ舞台設定で、横須賀を選んでくれました。
海から、ずっとずっと奥まった場所に住んでいる身には、本来、遠い遠い場所であるはずの横須賀。
でも、此れが意外と近い気がする。
東映映画「日本海海戦・海ゆかば」では、その日露戦争時の帝国海軍の旗艦だった、戦艦三笠が今いらっしゃる場所が、横須賀。
そこが公園になっている。
此処での数日間の撮影は、いい思い出。
小雪舞う様な冬の日の撮影で、その昼飯時に巨大な鍋から頂いた、あの豚汁の美味しかったことは、忘れられないなあ~~。
<1983年2月13日(日)三笠艦橋にて撮影>
その後、知己を得た、横須賀東映にご勤務の先輩には、非常に良くして頂いた。
横須賀東映で、映画上映最終回を観て、先輩と一緒に朝近くまで横須賀の町で飲み、泊めて頂くのが恒例年中行事だった。
今は亡き先輩。
どうぞ安らかに、、、。
それから、それから、横須賀のホテルには仕事の関係で、本当に何度も足を運び、これもお世話になった思い出がある。
何故か、ご縁がある「横須賀の町」。
あんなに沢山の巨大な戦艦が、目の前に当たり前の様に佇んでいる町、横須賀。
この、映画での間宮家の舞台設定が「ドブ板」ってところも、横須賀でドブ板って、ちょっとステレオタイプだが、その分、「らしさ」が満開で、それはそれで解り易いし、良い。
ここで、どうしても又、触れないといけないのが、映画スタートでの、いきなりの歌が♪Smileスマイル♪大好きなナットキングコールの曲だったこと。
此れだけで、実は後の本編の内容はどうでもいい位、心を鷲掴みにされた。
ベルベットの様な優雅で優しいスモーキーな歌声とか表現されるが、此の人の歌好きだなあ~~。
何と言うか、けして見映え云々の話では無く、持って産まれた品?格?
それは、娘ナタリー・コールにも言える、そんな物がある、此の親子。
その、二人のデュオ、オーバーダブでの「アンフォゲッタブル」は、秀逸だなあ、キングもナタリーも良い。
二人共、若くして病に倒れ、逝ってしまったが。
こんな色々な要素が、幾つも混ざり合って紡ぎ合って、もう、とてもとても幸せにさせて貰えた、そんなライブを観られた聴けた、そういう映画と出会えた。
最後に、小泉徳宏監督、寺尾聡さん、
認知症が進んで行く哲太から、息子への思い、本音は、このまま聞けない、確かめられないのか?と雄太共々に思っていた我等へ向け、「だって、息子は俺のスターなんだ!」って、まあ、ズルいよ!よくもまあ、最後にダメ押しの、最大のこんな泣かせの決めの台詞を用意しているなんて、モウ。
涙、止まらんヨ!!!
良かった!
資料によると、
ーーー「特に観る人の記憶に残る、看板曲を作るべき」と考えた小泉監督は「Smile」を看板曲とすることに。
劇中で哲太は何度か息子の雄太に「Smile, son」と声をかけるが、これは看板曲「Smile」を生かしきるために書き足された台詞だ。
この台詞はやがて父と息子の感動の一幕を演出することになる。
いわば哲太の人生のプレイリストと言えるもの。
寺尾が哲太の人生を背負って歌う、芝居と音楽が融合するクライマックスのシーンに注目を。ーーー
と書かれている。
寺尾聡さんは、インタビューに答えて「“明るいけど切ない”というのが、一番キュンとする!」とのお言葉を発していた。
追記
哲太って役名、モデルの「テッド・マクダーモットさん」から、取ってますよね?!(笑)
さて、どうしても、此の思いにもう一度は浸りたくて、でも、雰囲気に吞まれず少しだけ引いて冷静に観たく、同じ週の土曜日の5月31日、又、観てしまった。
何と、週に二回も。@ユナイテッドシネマ浦和
パンフレットも、久々に購入(笑)
そして、イギリスの原作も購入(笑)