うだるような暑さもなんのその、各地で伝統の“夏祭り”が催されている!
 売り場では、マークダウン品も含む新旧商品が混在し、晩夏物や「季節限定品」、「秋冬物の早期受注会」に気合いが入っていよう。
 ライフスタイルが多様化している昨今は、秋までの端境期だからといって、「商人(あきんど)」たちに「ホッ」とできるようなオアシスタイムを与えてくれない。
 多くの商業施設では、子供と大人がいっしょに楽しめるような、夏休み「スペシャル企画」が工夫されている。さて今期、明日の商いにつながるような、「キッズ」たちの心を捉える企業はいずこか?
 店内は、クーラーが効いているものの、この時期は、汗をかいたり予算達成に追われて、頭に血が上ることも多いだろう。
 そんな時は、8月の誕生石「ペリドット」(鮮やかな黄緑色からオリーブ・グリーンまでの色がある)を身につけてはいかがだろう?…その石は、昔から心の病に良いとか、「煮えたぎる熱湯を鎮める」とか伝えられてきたから、頭を冷やし、冷静にコトを冷静に運んでくれよう。
 
◇ 盛夏の資格取得審査
 
 第8回目の「フィッティングアドバイザー」の2級資格取得審査は、7月下旬(7月26日)に札幌会場からスタートし、福岡会場(7月30日)、東京会場(8月2・3・13・14・15日)、大阪会場(8月6・7・8・9日)の日程で実施されている。
 合否の結果が発表されるまでは、受験された本人はもちろん、送り出した百貨店や企業、そして担当の講師も胸が高鳴ろう。
 力を存分に発揮できたか、出し切れなかったの違いも大きいから、その時を待ちながら、いつものように、現場でお客さまのために尽くして待っていよう。
 昨今は、こういった制度に限らず、資格や職業訓練の受講歴などの整備や新設の動きが、小売り業やサービス業に押し寄せてきている。
 そういった動きが、ついにスーパーマーケットの「レジ打ち」や学習塾の講師などの「サービス業」にまで及びそうだ。
 初夏には、経済財政諮問会議(議長・安倍首相)などの公的機関の後押しで「ジョブ・カード」…(資格や職業訓練の受講歴を記載した証明書)が発行され、サービス業全体の「生産性の向上」を図るという方針が打ち出されている。
 時代は前に進んでいる。だが、国をあげての「IT化の推進」や国民の「住民票コードの施行」、そして「ジョブ・カード」…うんぬんと、まるで「宇宙時代」に突入したかのような戸惑いと違和感に包まれる方も少なくないだろう。
 ついに接客・サービス業でも、生産性の向上を、公的に管理されるようなことになるわけだ。
 カードの発行よりも、制度の「質」と「中身」の判断規準が、どう展開されるのか気になる。
 例えば「フィッティングアドバイザー」も、日々の商いに邁進し、人間性豊かな「おもてなし」が前提にあっての、バッチの輝きだから…。
 
◇ ベストパフォーマー賞
 
 システム化が進むほど、かえって温もりが恋しくなったり、人間味を残したいと切望する人々が存在することに救われる。
 先月の22日に、第9回「ベストパフォーマー賞」という授賞式があり、今年は「東国原英夫」宮崎県知事が受賞した。
 主催は1997年に、文部省の許可のもとに設立された、(社)パフォーマンス教育協会(国際パフォーマンス学会…筆者も正会員)で、年毎に、「優れたパフォーマンス力を発揮された方」が各界から選出される。
 パフォーマンス学の目的の一つに、「人間関係作りのための自己表現能力を身につけること」がある。
 パフォーマンスとは、「演技」や「まやかし」というふうに解釈されがちなケースも少なくない。
 欧米では、「価値表現・伝達」と捉えられてきた背景は、社会学者の「ゴフマン」や、社会心理学者の「マレービアン」が確立した説得力のある論理学による。
 ゴフマンの定義は、「日常生活における自己のプレゼンテーション」で、マレービアンは、自己表現の構成要素を、30%が「言語表現」、70%が「非言語表現」であると長年の研究から発表した。
 近年、接客・サービス業では、「コミュニケーション力」の向上が取り沙汰されている。したがって、「販売業務におけるパフォーマンス」力は、お客さまとの「きずな」作りに欠かせないメニューだ。
 ただし、FAとお客さまとの「距離・立場」をわきまえ、お客さまの「反応」や「機微」を理解できる「人間力」があってこそのことだ。
 
◇ 劇団ふるきゃらに学ぶ
 
 7月末に、「劇団ふるさときゃらばん」の公演便りが届いた。
 三越劇場(日本橋三越本店6階)で、8月2日~4日に上演される、ミュージカル「雲たか山の鬼」のごあんないだった。
 それは、夏休みの企画としては、ファミリーで楽しめる、おすすめの催しだ。一度観たら、鳥肌が立つほど感激するだろう(かつて私は、応援団だった)。
 物騒なご時世で、笑いが乏しくなった子供たち、忙しいビジネスマン、接客サービス業にたずさわる方も、きっと何かを見つけられる。
 演出家と音楽担当、そして劇団員のすべてが一体となって脚本作りに参加し、「いかに努めたら、観る人に喜こんでいただけるか」と、農村や企業など他で体験を積む姿勢は情熱的で半端じゃない。
 例えば、“舞台は生き物、手抜きは許されない”という信念を持って、開演前の張り詰めた空気の中にあっても、綿密なミーティングを徹底的にする。
 お客さまの顔ぶれや、入り具合を掴んだ対策を練るためだ!
 公演終了後は、感激さめやらぬお客さまより先に、役者が舞台を駆け下りる。汗とドーランでグシャグシャの顔のまま、会場の出口に並び、お礼と感謝をこめてお客さまをお送りする。…その時、お客さま一人ひとりの表情や反応も見逃さない。そういった姿勢は、ほんの一コマだ。 「ふるきゃら」を観ることを、社員研修に取り入れた企業の数は相当のものだ。
 そこに「ホスピタリティ」精神の原点が息づいている。
 バーチャル社会、システム化の時代には、「ホスピタリティ」が恋しがられている。
 ふりかえれば私も、業界のファッション専門誌(1992年)に、今後のFAに期待される「条件」として、「ホスピタリティ」を提起していた。
 そこで一案、売り場の商品が“夏枯れ”(色や柄・デザイン・サイズが息切れ)になっている8月は、全売り場のスタッフが、“ヒューマン病”なる良性の症状にかかるのも悪くはない。きっと太陽の花「ひまわり」も、きっとエネルギーを注いでくれよう。
 また、商品の在庫が少ないときほど、FAと「フィッティングアドバイザー」の底力がものを言うから、息切れした商品に、愛の息を吹きかけてみよう。ステキな方に購入していただけるよう、出会いの場(ディスプレイ)に気合いをこめて…。
 
◇ 旬のイベントあれこれ
 
 今夏は、レトロチックな「ドレス」が市場を引っ張っている。
 メンズは、ピタピタルックのジャケット(イタリアンテイスト)人気が、少しパワーダウン…。ブリティッシュテイストへと心変わりの男性客も目立ち始め、フレンチテイストは、双方にやや食われ気味の気配が!
 男性客もその気になれば、女性と同じほどのニーズを掘り起こせる。 「おしゃれ心」、「おしゃれをしたい気持ち」は、女も男も世代を超えて同じだから…。
 レディスもメンズも、いかに「MD面での、同質化を防ぐか?」は、百貨店や大型店舗では、今秋への早急課題のようだ。
 男性客も女性客と同様に、「おしゃれの達人」が増えて、「ホワイトカラー族」と「ブルーカラー族」の垣根すらあいまいになった。
 業界を上げての「ドレスアップメンキャンペーン」が効を成したのか、しなやかにおしゃれを楽しむ「フリーカラー族」が、各地で羽を広げ始め出した。
 おしゃれ上手になる早道は、人にもまれたり、人目にさらされたりする機会を沢山持つのも一案か?
 「情報量の多さ」は、「装いの哲学」に昇りつめることのできる前提条件のようだ。
 いずれにしても、受けて立つ売り場を守る全スタッフが、「暮らしの哲学」に磨きをかけることで、沢山のお客さまからのご満足を頂戴できる!
 接客・サービス業で万全を期すには、一に体力、二に体力、三に自己啓発、そして四に遊ぶこと(?)
 それが、お客さまの願いに応えられる早道だと思うからだ。
 遊ぶには、「時間もお金も…」という方は、「映画」を観たり「本」を読むだけでも世界が広がるし、ミュージカルや歌舞伎に出向くのも、息抜きになろう。
 本といえば、各地の商店街も、百貨店に負けないほど燃えているが、とりわけ京都府内の商店街が熱い! 来年に「源氏物語の誕生千年紀」を迎えることから、作者である「紫式部」にちなんだ、様々なMD開発や仕掛けが企画され、前年祭が始められている。
 また、東京都の平成19年度「商人大学校」(4月24日~9月11日まで開講)では、都内の街・町で奮戦している小売店に役立つ「販促・商品・接客・空間演出・計数管理」などの全10講座に、定員を三年連続オーバーするほどの申し込みがあり、経営者や二代目が多忙な合間を縫って受講されている。
 迷いが生じたら、「ひまわり」のように、灼熱の太陽を仰いでみよう。
 大型店の生き残り策は、イソップ物語の「太陽と北風」に例えるなら、太陽にある!
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