2月(如月)は、春物の本格的な実需を前に、人事異動や棚卸し・各種の研修会などが盛んに行われるシーズン!
 かつてのニッパチ(2月・8月)商戦は閑散期で、少しはホッとできたものだが、時間がスピーディに流れてしまうような昨今は、ちょっとの油断も許されない月になってしまったようだ。
 さて、先月の中旬(1月18日・19日)すぎから今月の半ばに欠けて、第7回目となる「フィッティングアドバイザー(2級)」の資格取得審査が、昨秋の2級指定講座を受講された方をメインに、他の受講者も加わって実施されている。
 今春は、先に記述した大阪会場を皮切りに、東京(1月24日・25日・26日)、札幌(2月9日)、福岡(2月13日)の順に、各々の会場で行われている。
 受講される方々の持てる「才能・知識・技術」が、今回もいかんなく発揮できることを願っている。
 そこで試験に臨むときに、あがらないようお守りとなる宝石がある。
 それはアメシスト(紫水晶)…。
 2月の誕生石でもあるが、月々に関係なく、宝石ことばは「誠実・心の平和・真実(フランス)」で、宝石から放たれるメッセージの一つには、昔から「人生の悪酔いを排除してくれる」という言い伝えもある。
 
◇ FAが不足している?
 昨年来、販売員(?)の採用難が深刻化していると、各種のメディアでは取りざたされている。が、「本当にそうなんだろうか?」という思いも感じないわけではない。
 人口の変化に伴い、若手や働き盛りの人口は減ってはいるものの、とりわけ、ファッション業界で不足している主な原因は、新卒者や若い人材ばかりを求めるからだろう。
 人材不足を打開する一環として、大手のアパレルメーカーでは、販売職を契約社員から正社員に登用する企業が増えてきているそうだ。
 また、定着率をさらに高めようと、給与・待遇面の改善、販売以外のセクションへの異動…その他と、一部の動きではあるが改革に着手し出したことは、採用される側や現職のスタッフにとって「やりがいとはげみ」になるだろう。 
 しかし、そういったことの前に改善されるべき課題が、いくつも残されていよう。
 例えば、自らが店を経営しているケースなら話は別だが、物を売る仕事は、3K(きつい・苦しい・根気がいる)の職種だ。したがって、若手を採用しようとすれば、昨今では少しでも楽な仕事に流れていくから、離職率が高いのは当然か?
 こういった人材確保や改革への動きは、今に始まったことではない。過去にも、10年サイクルぐらいであった。
 採用する側は、世間に染まっていない教育しやすい若い人を望む傾向がある。…一方、本当に販売職が好きで、人と接することが好き、そして、自らの暮らしを充実させるためには、「きつい販売職もいとわない!」といった人材は、ある程度の経験を重ねてきた人に多いものだ。
 欧米などでは、百貨店や著名メゾンの中に、熟年スタッフの面々が、若手に混じってバランス良く配置されていることが多い。
 もちろん扱い商品のテイストやターゲットにもよるが、「感性年齢」が若く見えれば、FA(販売スタッフ)の年代を気にするお客さまは意外に少ないだろう。
 数年前のことだが、都内のある百貨店で、派遣スタッフ(メーカーからの出向社員含)の大幅な若返りが図られ、入れ替えが実施された。ところが、そういった思いきったテコ入れが裏目に出てしまい、しばらくの間、業績に大きく響いたという実例があった。
 そこから他店へ移ることのできたFAに、お客さまが異動先にまでついていったというケースが続出したためだ。
 お客さまによっては、若くて素直なスタッフでも、経験豊かなFAに比べて「人間力」という点でモノ足りなかったようだ。
 いずれにしても、安定雇用が保障されるようになったら、「販売職」に対する、次は「イメージの刷新」も必要か?
 私事だが、販売職だった70年代の後半に、自らをすでにFA(ファッションアドバイザー)と呼んでいた。そうすることで、プロのあるべき姿を自分なりに「イメージトレーニング」できたので、やりがいはあるが3Kといわれる仕事もこなせていた。
 例えば、キャビンアテンダント、看護師…うんぬんと、時代に即して職種名が改正されたように、「販売員」という堅いイメージの名称から脱却させてみるのも良いだろう。
 
◇ サイレントメッセージの定義
 
 「サイレントメッセージ」とは、①接遇時の「しぐさ・アイコンタクト・フットワーク」など、声なき声の代表である「体話」と、②「VMD」=(VP+MD)、つまり、お客さまの耳には聞こえないが、五感と心に訴える「ビジュアル空間」とに定義づけてみた。
 補足するなら、③「ウェブサイト」からのメッセージもそうである。…「バーチャルショッピング」・企業紹介の「ホームページ」・顧客サービス向けの「情報サービス」…など、お客さまの「視覚」に訴えるもののすべてが、差別化戦略の手段となるから、定期的な点検も必要であろう。
 多くの企業や店舗が、それぞれのやり方で「CS=カスタマーズサティスファクション」に努めてきた。 また、企業間に差異はあるものの、CS以前、もしくは同時に「ES=エンプロイサティスファクション…(従業員満足)」に努めているケースも増加している。
 もし、企業や店舗へのさらなるロイヤルティ向上を期待するなら、愛ある「サイレントメッセージ」を抜きにした「ES」の成功率は限りなく低いだろう。
 
◇ 3級の通信講座が一般に開講
 
 昨年12月より、日本百貨店協会は、「百貨店プロセールス資格制度」3級の通信講座を、一般(百貨店やファッション業界へ就職を目ざす学生など)に開放し、従来は対象外だった一般の方々も受講できるような改正に踏み切った。
 百貨店プロセールス資格制度のフィッティングアドバイザー(レディス&メンズ)と、ギフトアドバイザーとの三つの部門で、採用活動の一助として開放された。
 
◇ キャリアアップの明確なビジョン
 
 企業本部でインストラクター(推販教育部のチーフ)をしていた頃(89年当時)、FAがキャリアアップできるための、ステップとゴールイメージについて、明確なビジョンを作成し、上司の本部長に提出したことがあった。
 売り場を守るFAの「素質と才能」を発掘し、本人の希望も加味しながら、「インセンティブの高揚」に導き、「適材適所」に人材を配して、最強の軍団を作りたかったからだ。
 その提案書は、全事業部の部長クラス以上が集まる会議にかけられ入念な検討がなされた。が、会社が抱えていた重大な課題の解決が優先されたため、最終ゴールまでは到達できなかった。
 上記の図(省略)は、その時の提案書の一部である。
 その提案書は、メーカーにおけるFA職に関してのものだったが、トレーナーとインストラクターの誕生にはこぎつけることができた。
 その頃、業績を上げていた優秀なFAの大半は、今現在でも各地で健闘をしている。
 例えばA女史は、メンズの販売代行店(六本木)を請け負い、売上高の15%を給料として手にしている。
 またS女史は、三越本店にある著名ブランド(レディス)で、年商3億円以上を売り上げる、カリスマ店長として、今も輝き続けている!
 彼女たちは、販売に関する特別な「資格」を持っているわけではない。
 しかし、企業内での「研修会」には欠かさず出席し、未知のことを積極的に吸収し、知っていることでも部下たちと「引き出し」を増やす努力をしていた。
 そして何より、「服とお客さま」を愛していた。
 また、お客さまが求めている「モノ・コト」に敏感に反応できる能力を持ち合わせていた。したがって、消化率の良い「バイイング力」にも長けていた。
 彼女らは「学ぶ」ことや沢山の人々との「出会い」によって、知らなかった世界を前向きに広げていったから、今でも色があせることなく第一線で活躍し続けている。
 かたや現状では、百貨店の社員であれば、日々の努力と自己学習を前提に、「プロセールス資格制度」の指定校で学べるチャンスがより一層ある。…2007年もチャンスを活かして、大いに羽ばたいて欲しい!
 とりわけ、総合職を目ざしたい方は、豊かな実務経験があると、さらに応用力を発揮できよう。
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