「雨降って地固まる」…「潤い豊かな」レイニーシーズンは、ジューンブライド(6月の花嫁…その昔ローマでは、この月に結婚・出産の女神である、ジュピターの妃を祭った)と、第3日曜日の「父の日」キャンペーンが一押しの狙い目で、水面下ではすでに、サマーギフト商戦がスタートした。
 さて、今期で第6回目となった「フィッティングアドバイザー・レディス」2級指定講座は、6月の下旬ですべてが終了する。
 同時期(4月~6月)に、「フィッティングアドバイザー・メンズ」と「ギフトアドバイザー」講座も、実施されていた。
 前期(第5期)の資格認定審査の結果は、個人情報の守秘があるため、合否は担当窓口と本人以外には未公開だが、バラツキはあるものの、前期よりも総体的に平均点と合格率が向上したとのことだ。…(筆記テストの解答様式が一部改編された)
 
◇ 学ぶことに意義がある!
 
 「試験は時の運」?…もあるが、「フィッティングアドバイザー」や「ギフトアドバイザー」の2級審査の場合でも、それなりの経験や実力(現場経験)があると思われたスタッフが、天使のいたずらか選にもれてしまうことがある。
 不合格の理由は一人ひとり異なるが、合格率の高い企業スタッフは、研修や審査に臨む機会に慣れていたり、2級講座受講後のフォロー体制が万全な場合が多い。
 また、出題が予想される筆記や実技に関して、情報量の豊かな環境に恵まれていると、当然のことながら落ちついて臨めるだろう。
 いずれにしても、スタート時から今現在まで、出題問題や審査シーンの詳細は未公開となっている。
 各指定校が必修課題を踏まえながら、独自の色を打ち出していることもあり、「共通のものさし」と映るのは、3級の「通信講座」テキストのようだ。
 2級の指定講座で研鑽を積むことは、時代の要求に応えることであり、ハイレベルでおしゃれなお客さまと「歩み」を共にするには、時代をリードする感受性を盛り込んだ「知識・技術」のさじ加減が大切だ。
 体得したことのすべては、「お客さま接点」の現場であますことなく発揮されてこそ実になる。
 「フィッティングアドバイザー」には、いつの世も潤いのあるハートフルな「時代センス」と「商売センス」が必要か?
 
◇ 興味深いMDのカンどころ
 
 今春夏のレディスは、各種のメディアや専門誌で、またもや「白」を前面に謳っている。
 「白・灰・黒」は、ロングランにわたって、根強く愛される定番カラーという発想をいつも抱いている。
 95年頃からの資料やファッション誌をひもとくと、春から初夏へのシーズンは、毎年「白」のオンパレードとなっている。
 2年前から発表される「インターカラー」や、シーズン間際の「アップトレンドカラー」にも、昨今は「はてな?」と、疑問を抱いている方は多いかもしれない。
 「十人十色」どころか、「百人百様」のユーザーに対して、長年、同じような分析手法でプレゼンが続けられているが、「マイ・カラー」「マイ・スタイリング」が好まれる傾向のご時世では、色が片よると、売り逃しにつながっている可能性もあろう!
 企画担当者やMD、バイヤーや売り場を守るFA(フィッティングアドバイザー・スタイリスト・コーディネーター)は、トレンディ「カラー・素材」といったある種の「呪縛」のようなものから解き放たれてみよう。
 例えば、著名な某メンズブランドが、「クールビズ」効果を差し引いても、昨対20%以上の快進撃を続けているその理由は、「色やシルエット」に惑わされていない。
 メンズショップに、あえて女性客が興味を抱くようなグッズを展開し、構成比を入念に絞り込むことを、営業マンと店長たちが実践していることも勝因のひとつ…。つまり、企業本部から発信する「新企画品」を確保しつつ、土地の民度に合わせた「顔」が見えるお客さま用に、「定番品」を絶やさないこと、トレンディ商品やカジュアルで、とんがったデザインのアイテムであっても、サイズ展開の幅を持たせる…などと、独自のMD構築がつながっている。
 あらゆることにアンテナをはっている「バイヤー」や「ショップマスター」ほど、「消化率の良い」品揃えができるというコメントを、以前に本誌でさせていただいた。
 「フィッティングアドバイザー」講座に、バイヤーの積極的な参加をおすすめしたい!
 かつて、株式会社丸井のバイヤー(レディス担当)が、労組主催の「ボディフィッター研修」に、販売スタッフと共に参加してくださった。
 受講後に、「商品知識は熟知していたつもりだったが、知らないことがいっぱいあって刺激を受けた」との感想を頂戴した。
 また、百貨店プロセールス資格制度がスタートする以前の7年間、大手百貨店で社内認定の「衣料フィッター」を、全店で290名誕生させた(研修・試験の考案作成・審査など担当)。今でも、その「バッジ」は生かされていて、「フィッティングアドバイザー」共々健闘している…という報告を受けているが、そちらの男性社員(課長・主任含)は、積極的に研修に参加されていた。
 研修や社内認定の合格後、担当商品の「サイズマーチャンダイジングと消化率の向上に役立った」と、他のメンバーを前に発表してくださった。
 こうした実例からも、カリキュラムの組み立てや項目の優先順位を慎重に練ることで、フィッティング研修を、「接客」と「商品知識」「補正知識・技術」を超えた、戦術へと転換できるのである。
 
◇ 心が潤う真珠とバラ
 
 6月の誕生石は、イギリスやアメリカでは「ムーン・ストーン」で、わが国とイギリスは、「月のしずく」と言われる「真珠」。
 貝の中に入って吐き出せなかった異物を、自らの分泌物で幾重にも巻きを重ねていくと、やがて異物は美しい宝石に変わる。巻きが厚くなるにつれて、黄・白・ピンクへと美しさと透明感が高級品として愛でられる。
 まるで、痛みに耐えながら美しく歳を重ねていく淑女のようだ。
 「接客サービス」や「コミュニケーション術」も、真珠層が形成される過程と似かよっているところがある。
 かたや、バラは6月の誕生花だが、この月は、バラに結びつく行事が多いから、キャンペーンや集客に使わない手はない。
 6月6日「いけばなの日」と第2日曜日の花の日…別名「バラの日曜日」、そして、「父の日」のマスコットフラワーである「黄バラ」と、バラづくしのアイデアはつきない。
 「バラ色のソワレ」とか「あなた色のバラード」、「バラのバラード…」というキャンペーンタイトルで、梅雨どきのうっとうしさを忘れさせてしまおう。
 ちなみに、かのクレオパトラは「バラ風呂」に浸り、バラをまき散らした寝室で眠っていた、というエピソードはあまりにも有名だ!
 洗っても洗っても、金太郎飴のように、バラのモチーフが出てくる「石けん」や、バラのエキスがたっぷりの「香水」、「ローズティー」…などと、服やメンズ用ギフトをお買い上げの方々に、「プラスワン販売」や、「プレゼント作戦」で迫っては?
 「フィッティングアドバイザー」と「ギフトアドバイザー」とが、「手づくりのバラ」教室や、黄色いミニバラを使った「フラワーアレンジメント講習」をジョイントできる。
 こうしてみると、今月も販促部門や仕入部門に頼らずにも、現場スタッフの手になる「売り場おこし」はいくらでもできる。
 売り場は、いつ何時も「バラ色の庭園」、スタッフの微笑みは、華やかなバラのごとく! をモットーに、サマーギフト商戦へのはずみをつけたい。
 ところで、「父の日」のマスコットフラワーは「黄バラ」…なんて、誰が決めたのだろうか?
 もともとは、アメリカの「ジョン・ブルース・ドット夫人」が、亡父の墓に白いバラを捧げたことが由来である。
 一方、イギリスでは黄色が大切な人の無事を祈る安全カラーであることや、ベトナム戦争が激しかった当時、いとしい人が無事に帰ってくるようにと、残されたレディたちが首に黄色いネッカチーフを巻いたなどの諸説がある。
 それらがからみあって、その花に落ち着いたようだ。が、実は私も「黄色いリボンと白いバラを合わせて、いっそのこと黄色いバラにしよう」と、各種のメディア誌上で、90年頃からずーっと提唱し続けてきた一人…。
 サマー商戦をひかえプレッシャーで気持ちがへこんだら、「バラ色の笑顔!」と、自らに「お声かけ」をしてみよう!
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